ディースクエアード(DSQUARED2)の2024年秋冬コレクションが、2024年1月12日(金)、イタリアのミラノにて発表された。
ショー会場に入ると、ロビーは一面の黒。しかし一転、ランウェイはなめらかに光を反射する白。対照的な黒と白は、ドレッシーとカジュアルという今季のディースクエアードの相反的な2つの特徴をうつしだすかのようだ。
ドレッシーの側には、たとえばメンズのテーラリングやウィメンズのドレスなど、フォーマルさをイメージさせるアイテムを挙げられる。シャープなピークドラペルジャケットはスパンコールに華やぎ、ドレスは優雅にトレーンを引く。あるいは、重厚なファーコートは、パッチワークによりクラフト感を出しつつも、ラグジュアリーな佇まいを示している。
一方、カジュアルの側には、デニムに代表されるワークテイストが数多く見られる。ボリューミーなデニムパンツに加えて、足元にペイント加工を施すことで、ワークというエッセンスを極度に強調するアクセントも見られる。また、スリットを設けるなど、カジュアルなデニムながらもディースクエアードならではの官能性が追求されている。
ここでしかしコレクションを、ドレッシーとカジュアルの二項対立に押し込みたいのではない。むしろこれら両者の対立と混交に、心地よい緊張が流れるのだ。たとえば、スパンコールを、テーラードジャケットとMA-1、デニムパンツに用いたり、パッチワークをファーコートとデニムパンツに取り入れたりと、同じ素材や技法を相異なるテイストに枝分かれさせている。
あるいは、ひとつのアイテムが、ドレッシーとカジュアルの緩やかな連続性へと開かれる。一見、端正なスーツかと思わせるものが、ジャンプスーツやフーディーへと変化する。テーラードジャケットは前後を反転し、ミニワンピースへと一転する。こうした意味で、今季のディースクエアードには、いわば白と黒とが混交する、豊かな可変性を見て取ることができるように思われた。