アライア(ALAÏA)の、2024年夏秋コレクションを紹介。
アライアは、「本質」にフォーカスを定め、洗練していくことで見出すことのできる自由で新鮮な装いを提案。創始者であるアズディン・アライアの姿勢に根付く「曲線と輪」を主軸に、コレクションを展開する。ブランドのコアと共鳴する親密さを備えつつ、「本質」を見据えて研ぎ澄ますことでむしろ新たに浮かび上がってくる可能性を追求している。
クリエイティブ・ディレクターのピーター・ミュリエは、今季のクリエーションに向けて1年以上にわたり、アズディン・アライアの時代からタッグを組んできた生地・ニットウェアのファクトリーとともに技術の開発に取り組んだ。メリノウール糸を基盤に、コレクションのための新技術が用いられている。
象徴的なのは、1本の糸が幾重にも連なり折り重なるようにしてカーブを描くピースだ。生地として織られることなく糸のままで寄せ集めることで、繊細さとボリュームを兼ね備えた佇まいに。淡いピンクやホワイト、ブラックのドレスには、ボディの糸の流れとは反対側にカーブを描くレザーベルトを組み合わせ、アクセントを加えている。
また、ブラックのコートやデニムジャケットは生地の途中から繊維状の糸に切り替わっており、糸を緩やかに折り曲げてスカートと一体化させた。
加えて、生地のドレープや動きのあるディテールによる、流れるような曲線美も随所に見て取れた。布地を体に緩やかに巻き付けるようにして仕立てたシアーなブルーのドレスや、円を描くような裾のラインによって大胆なスリットを生み出したセンシュアルなドレスなどを展開。スナップボタンをドット状に散りばめたドレスは、留める位置を自由に変えることができ、自在にドレープやシルエットを調節して着用することができる。
何枚も生地を重ねて様々な方向にウェーブさせたドレスは、造形の優雅さに布地の躍動が加わり、有機的な表情を見せている。繊細さとダイナミックさが共存したピースだ。
ファーのようなボリュームでこんもりとしたフォルムに仕上げたディテールも目を引く。オブジェのようなシルエットのコートは糸を使って作ったボアがあしらわれている。パフィージャケットには切りっぱなしの生地を重ね、分量感を加えるパーツとしてプラス。いずれも生き生きとした佇まいを生み出している。
また、着脱可能なアームカバーにはメタリックなブレスレットを組み合わせ、柔らかさとかたさ、マットと光沢といった対照的な質感を隣り合わせに。そのコントラストによって、個々のパーツの存在感を際立たせている。