ロエベ(LOEWE)は、2024-25年秋冬ウィメンズコレクションを2024年3月1日(金)にフランス・パリのヴァンセンヌ城にて発表した。
今季のテーマは「由緒」の研究。英国の階級社会や、特権的な意味合いを持つ特注品の「テーラリング」と「クチュール」の融合がクリエーションの鍵となっている。男性的な仕立て服と女性的なオーダーメイドの服を共存させつつ、その特権性をロエベの視点から解体し、遊び心いっぱいに表現しているのがポイントだ。
モーニングコートは、後ろ裾を極端に長くすることでフェミニンな印象に。かっちりとした英国製ウールツイルのテーラードジャケットに合わせたバルーンパンツは、生地をたっぷりと使ってドレープを効かせ、優雅さとリラックス感を同時に演出する。
また、ふんわりとリュクスに起毛させたニットには、マニッシュなスラックスをスタイリングして紳士服の要素をプラス。階級社会を思わせるネイビーのキャプテンコートは、ロエベのアイコニックなナパレザーを用いて仕立てた。
また、アメリカの画家、アルバート・ヨークの作品がコレクションの随所に散りばめられている。アルバート・ヨークは“アメリカで最も高く評価されている無名の画家”であり、木々や田園の風景、花、犬、牛などを描き小さな絵画作品を制作した人物だ。ショー会場には、アルバート・ヨークの1963年から1990年にかけての作品を展覧会さながらに展示。静かで詩的な世界観を空間いっぱいに表現した。
目を引くのは、アルバート・ヨークの作品と呼応する絵画モチーフのウェアだ。色とりどりの花々を散りばめたブーケ模様のシルクサテンドレスをはじめ、植物や野菜を描いたパンツなどが登場。ビーズ刺繍を施した柔らかなタペストリーのドレスには、犬をダイナミックに描き愛らしい佇まいに仕上げた。また、ウェアだけでなく「スクイーズ」バッグやブーツにも温かみのある色彩で草花のモチーフがあしらわれている。
アーティスティックなムードを後押しするのが、装飾的なディテール。流れるようにしなやかなドレスや、柔らかなフォルムのブラウスの中心には、ベルトのバックルをあしらい服のバランスを引き締めるアクセントに。コートの襟には銀色に輝く木製彫刻のような装飾を施した。
また、花柄のアシンメトリードレスの肩にはオブジェのようなスケルトンの装飾を大胆に配置し、イートン校の制服を彷彿させるカレッジボーイスタイルには大きなスタッズを並べたカマーバンドを組み合わせている。