ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY)の2024年冬コレクションを紹介。
ステラ マッカートニーによる、母なる地球からのメッセージを体現した2024年冬コレクション。海や空を思わせる“水色”、火山と火を想像する“赤”、闇と光のような“黒と白”に、大地や砂漠を感じさせるネイチャーカラーなどを組み合わせ、地球を表したようなカラーリングが印象的だ。
象徴的なのは、シルエットや素材感によって、母なる大地に生きる動物を思い起こさせるアイテムたち。例えば、オーバーなニットウェアで体を包み込み、足を露わにしたシルエットは毛皮をまとった動物を思わせる。歩くと流れるような曲線生まれ、“まるで歩いている獣”のような動きが与えられている。
また、毛皮のようなキャメル色のコートを引きずりながら歩くさまは、大胆なインプレッションを与え、生命の力強いうごめきを体現しているように感じる。タイトなインナーに覆いかぶさるようなオーバーコートを羽織ったアンバランスさから、動物の肉体美を読み取ることができそうだ。
ステラが幼少期に過ごした田舎の庭の小道からインスパイアされたスクエアパターンも用いたルックも印象的。ダイナミックに誇張したショルダーが目を惹くオーバーコートに、ゆとりのあるスーツパンツを共存させ、華奢な中身が一見大きく見えるのが特徴だ。幼少期の思い出をコンサバなルックに落とし込むことで、地球上の歴史は記憶されるという“時の流れ”に捉えられる。
さらに、底が見えない人類の力を引き出したような風格も見受けられた。ディープなネックラインのさりげない肌見せや、メタリックスナップでプロポーションを強調した官能的なスタイル。この肌の露出による脆弱さを、力強さのあるレザーでカバーし、人類の力強さへと変換させているかのように感じられる。
デコラティブなエレメントには、自然が生み出すまばゆい輝きを放つクリスタルが散見された。光の反射で虹色に移ろうクリスタルはルック全体を引き立て、生命そのものの輝きを表しているよう。ほかにも、タッセルをドレスの裾やジャケットに装飾要素として配したことで、動きをドラマチックに目立たせ、生命の動きを再現しているかのようだ。
穏やかな空気が漂う、温かいブークレデニムを落とし込んだゆるいセットアップも登場。その温かさは、淡い水色のタイトワンピースやダスティピンクなどのソフトでナチュラルなトーンを中心としたカラーパレットにも起因しているように思えた。