ジョウタロウ サイトウ(JOTARO SAITO)の2024年秋冬コレクションが、2024年3月13日(水)、東京・表参道にて発表された。テーマは「日陰のプリズム(PRISM IN THE SHADE)」。
日本の伝統美とは、薄暗い灯りすなわちその陰翳の美しさから成り立っていると論じた谷崎潤一郎による「陰翳礼讃」。ジョウタロウ サイトウのモノ創りの一片にもあるという「陰翳礼讃」を、今季のテーマ「日陰のプリズム」として再解釈とアレンジを加え、現在におけるキモノのスタイルとして提案する。
テーマに如実に沿うのは、光に充てられ生まれるドライフラワーのシルエット。どこか薄暗さを思わせるブラックとグレーをメインに彩られた着物に、縞模様と共にまるで影を落としたかのような柄に仕上げている。
日陰の中でプリズムが生まれたかのような柄も目を惹く。ボカシの技法により、イエローやピンク、ミントといった光が、分散、屈折、全反射、複屈折したかのような様子を表した。なお帯は、ブラックとホワイトでシンプルに、フラワーシルエットをあしらっている。
リアルクローズとしてのキモノ・スタイルを提案するジョウタロウ サイトウは、日常着でも着れるよう、着物にフードを合わせたルックを展開。フードを目深に被りランウェイに現れたモデルは、まるで太陽を忍ぶように顔をフードの中に隠していた。
光あるところには陰があり、陰あるところには当然光がある。ブラックやグレー、ネイビー、ボルドーといった落ち着いたカラーと相反するように、ヴィヴィッドな色彩も登場。プリズムボーダーと題したオレンジとブルーのボーダーがイエローの生地の上で映える1着は、鮮やかに周りを照らし、周囲に陰を生むかのような存在感を放っていた。