コウタグシケン(Kota Gushiken)の2024-25年秋冬コレクションが2024年3月12日(火)、渋谷ヒカリエ「ヒカリエホール」にて発表された。
“knitwear for human beings”をモットーに、糸の新たな可能性を紡いでいるニットウェアブランド・コウタグシケン。2019年秋冬コレクションのデビュー以来、『モナリザ』やゴッホの『星月夜』など美術作品をデザインソースとするユニークなデザインと、自然体かつ抜け感を演出する編み手法で注目を集めている。
そんなコウタグシケンのショーが初開催。今季のテーマはパリでの展示会に向け、目まぐるしく日々を過ごしたデザイナー・具志堅幸太が、この半年で唯一行った「整理整頓」だ。学生時代からの過去作品を振り返り、自身が苦手な整理整頓に取り組んだ“organiseid well”のコンセプトのもと、ブランドの自己紹介となり得るコレクションを展開する。
ホールに足を踏み入れると、“まるで展示会の会場”のようなステージが目に留まる。ショーは、芸人・ピースの又吉直樹と好井まさおとの電話からスタート。2人がステージ上へと現れ、“現在進行形の電話である”と観客は知ることとなった。そして、ステージにて開催されている今季の展示会へ参加し、2人のテンポの良い漫才とともにニットウェアを紹介していく。
今季のムードを体現しているのが、過去の自分を見つめ直し、再解釈したルックたちだ。たとえば、具志堅が大学の卒業制作として手掛けた“モナリザ”モチーフのニットウェア。モナリザを色濃く描いているのが特徴の定番モチーフだったが、今季はニットの配色と合わせ、明るいグリーンをメインに淡い色合いでまとめている。
イギリスの伝統的なファッションブランド・ジャミーソンズ(Jamieson's)とコラボレーションしたセーターも、前シーズンに続いて登場。袖と襟口以外は裏地を使用するという、斬新なフェアーアイル柄セーターをベストへとアップデートさせた。
またブランド設立当初から創作してきた、“ざっくり編み”の鮮烈なレッドニットはポンチョへ変身。トップスとして着るのはもちろん、セーターやコートの上からすっぽり被るスタイリングも可能だ。1つのアイテムで多彩な着こなしを楽しめるのが、コウタグシケンの人気の理由といえるだろう。
具志堅が「最も挑戦的だった」と語るスカジャンは、“オーガナイズしきれなかった”ウェアの1つだ。自身の思いの矛先が向くままに、ニットを自在に編み上げて完成したという。イタリア製のキラキラ輝く糸を用い、表はブラック×ベージュ、裏はロゼカラーのリバーシブル仕様なのもポイントだ。
さらに、1940年代のスーツを着想源にしたダブルジャケットとパンツのセットアップも披露。ニットならではの厚い生地感と、温かみのある雰囲気を纏うことができる。
カーテンに投影された今季のルック画像を見ていると、「グシケン…シケン…」のノイズが段々大きくなり暗転。カーテンが開き、コウタグシケンのアーカイブ作品が多数吊るされたステージにて、バンド・酩酊麻痺の歌唱が始まり、ライブ終了に伴いショーも幕を閉じた。