展覧会「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」が、東京・六本木のサントリー美術館にて、2025年2月15日(土)から4月13日(日)まで開催される。富山市ガラス美術館でも開催される巡回展だ。
アール・ヌーヴォーを代表する工芸家である、エミール・ガレ。草花や昆虫などをモチーフに、曲線的で色鮮やかなガラス作品を手がけたガレは、従来は応用芸術と見なされてきたガラス工芸を、芸術の域にまで高めた。そして、ガレの名を知らしめ、国際的な成功へと誘った地が、フランスの首都パリであった。
展覧会「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」では、ガレとパリの関係に着目しつつ、創作の展開を紹介。ガレの名声を築き上げたパリ万国博覧会の出品作や、初公開となるサントリー美術館収蔵の資料など、110件の作品や資料を通して、青年期から最晩年にいたる足跡をたどってゆく。
1846年、フランスの古都ナンシーに生まれたガレは、父が営む高級ガラス・陶磁器の製造卸販売業を継承。1878年のパリ万博では、経営・制作の双方で指揮をとって国際デビューを果たし、順調にスタートを切っている。会場の本展では、当時のジャポニスムを背景に、日本的なモチーフをあしらった花器「鯉」など、パリに迎えられた初期のガレの創作を紹介する。
好調な国際デビューを果たしたガレが、大きな成功を収めたのが、1889年のパリ万博のことである。約300点のガラス作品、200点の陶器、17点の家具を出品し、2つのパヴィリオンを準備したガレは、ガラス部門でグランプリ、陶器部門で金賞、家具部門でも銀賞を獲得することになったのだ。とりわけ、黒色ガラスを活用した作品では、悲しみ、生と死、闇などを表現し、物語性や精神性を色濃く反映した世界を展開した。会場では、花器「ジャンヌ・ダルク」など、1889年パリ万博における華々しいガレの成果にふれることができる。
1900年のパリ万博は、フランス史上、もっとも華麗な国際舞台となったものの、地方都市には何の利益もないといった反対意見もあった。こうした批判の声を上げた中心地が、ガレの故郷ナンシーである。こうした状況下で望んだ1900年のパリ万博において、ガレは、とりわけガラスにおいて独自の世界観を展開し、ガラスと家具の部門でグランプリに輝くことになった。本展の後半では、昼顔形花器「蛾」をはじめ、当時のガレの傑作を公開するほか、花器「海馬」や脚付杯「蜻蛉」など、最晩年の作品にも光をあてる。
展覧会「没後120年 エミール・ガレ:憧憬のパリ」
会期:2025年2月15日(土)〜4月13日(日)
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3F
開館時間:10:00〜18:00
※金曜日、3月19日(水)および4月12日(土)は20:00閉館
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:火曜日
※4月8日(火)は18:00まで開館
入館料:一般 1,700円(1,500円)、高校・大学生 1,000円(800 円)、中学生以下 無料
※( )は前売料金(2024年11月27日(水)から2025年2月14日(金)まで販売)
※チケットは、サントリー美術館受付(開館日のみ)、サントリー美術館公式オンラインチケットほかにて販売
※団体割引:20名以上の団体は各100円割引
※あとろ割:国立新美術館、森美術館の企画展チケットの提示により100円割引
※割引は併用不可
【問い合わせ先】
サントリー美術館
TEL:03-3479-8600