展覧会「没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家」が、東京の渋谷区立松濤美術館にて、2024年4月6日(土)から6月9日(日)まで開催される。その後、徳島県立近代美術館に巡回する。
エミール・ガレは、19世紀末ヨーロッパで興った装飾芸術運動「アール・ヌーヴォー」を代表する工芸家だ。植物学者であるなど、芸術にとどまらない幅広い知識を有していたガレは、草花や昆虫などをモチーフに、流麗な曲線と鮮やかな色彩のガラス作品を制作。それまで応用芸術のひとつと見なされていたガラス工芸を、芸術の域にまで高めたのであった。
「没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家」は、フランスを代表するガラス作家として活躍した、ガレの創作の軌跡をたどる展覧会。これまで展示される機会の少なかった国内の個人コレクター所蔵の作品を中心に、初期から晩年までの展開を紹介する。
1846年、ガラス・陶器製造販売店を営む家に生まれたガレは、家業を継いでガラスや陶器のデザインに携わることに。幼少期より歴史や語学、文学、哲学、植物学といった広範な学問にふれてきたことを背景に、その知識を反映したデザインを手がけている。第1章では、ガレ初期のデザインに着目し、《月型小物入れ》や《猫型置物》などを展示する。
ガレは、父から引き継いだ会社で実用食器などの製造に携わる一方、芸術性の高い「作品」としてのガラス工芸も手がけるようになる。同時代の芸術動向に反応したガレは、たとえば、人間の内面世界を表そうとする「象徴主義」からの影響もと、詩をガラスに刻んで暗示的な雰囲気を醸しだす作品を制作している。また、ガラスの表面に複雑な凹刻を施す技術を追求し、柔軟な表現を実現した。第2章では、《脚付杯》や《花器「地質学」》などを展示し、ガレの作品が芸術作品のひとつとして認識されてゆくようになる軌跡をたどる。
ガレがその代表的な作家として知られることになる装飾芸術運動「アール・ヌーヴォー」は、1890年頃からヨーロッパ各地で起こった。アール・ヌーヴォーの特徴は有機的・曲線的な造形であり、ガレは1890年代よりこうした傾向を強め、植物や昆虫の表現をいっそう洗練させてゆくこととなる。第3章では、《花器(プリムラ)》や《ランプ(ツバメ)》をはじめ、アール・ヌーヴォーの特徴が色濃くあらわれているガレ作品とともに、晩年のガレの歩みを紹介する。
展覧会「没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家」
会期:2024年4月6日(土)~6月9日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 4月6日(土)~5月6日(月・振) / 後期 5月8日(水)~6月9日(日)]
会場:渋谷区立松濤美術館
住所:東京都渋谷区松濤2-14-14
開館時間:10:00〜18:00(金曜日は20:00まで)
※入館はいずれも閉館30分前まで
休館日:月曜日(4月29日(月・祝)、5月6日(月・振)は開館)、4月30日(火)、5月7日(火)
入館料:一般 800円 (640円)、大学生 640円 (510円)、高校生・60歳以上 400円(320円)、小・中学生 100円(80円)
※( )内は10名以上の団体および渋谷区民の入館料
※土・日曜日、祝・休日は小・中学生無料
※金曜日は渋谷区民無料
※障がい者および付添者1名は無料
※リピーター割引:観覧日翌日以降の本展会期中、有料の入館券の半券と引き換えに、通常料金から2割引で入館可
■巡回情報
・徳島会場
会期:2024年10月12日(土)〜12月15日(日)
会場:徳島県立近代美術館
住所:徳島県徳島市八万町向寺山 文化の森総合公園内
【問い合わせ先】
渋谷区立松濤美術館
TEL:03-3465-9421