ジュン アシダ(jun ashida)の2024-25年秋冬コレクションが、2024年3月29日(金)、東京・六本木のグランドハイアット 東京にて開催された。
1963年のメゾン創立以来、日本のプレタポルテを常にリードしてきたジュン アシダ。「メゾンの創立60周年を経た今、改めてジュン アシダの"あるべき姿"は何かと考えた。あえてテーマは決めず、メゾンの核に触れるショーができれば。」デザイナー・芦田多恵のそんな言葉通り、今季は"高品質かつエレガント"というジュン アシダの服作りの主軸に立ち返る、原点回帰的なコレクションとなった。
まずは、ピンストライプを配したグレーのスーツからスタート。無駄のない細身のジャケットに、流れるようなシルエットのトラウザーを合わせたルックは、社会で活躍する凛とした女性の姿を思わせる。マニッシュな佇まいでありながら、淡いピンクの差し色とピンヒール、大きく胸元を裂いた肌見せによって、女性特有のやさしさや官能性も忘れてはいない。
中盤からは、秋冬らしい深みのあるクラシックカラーがコレクションを彩った。紅葉を思わせる鮮烈なレッドや熟れた果実のようなオレンジ、稲穂のゴールドに、くすみがかったグリーンやブルー。渋さを孕みながらも、そのどれもが古臭くなく、堅苦しくなく、高品質な素材との相乗効果で洗練されたムードを奏でる。
卓越した職人の技術に裏打ちされた、繊細な生地使いにも注目したい。中でも目を惹いたのが、肌を透かすレースと、ドット柄のシアー素材をドッキングさせたフェミニンなドレス。レース部分には、モデルの歩みに合わせて煌めくラメ糸を織り込んでおり、妖精の衣装のように儚げでロマンティックな表情を演出している。
コレクションは終盤に向かうにつれ煌びやかさを増し、しっとりと光沢を湛えたサテンパンツや、メタリックな輝きを秘めたシルバーのオールインワン、そして星屑のように煌めくブラックのノーカラージャケットなどが提案された。フィナーレには、水面のような煌めきを纏ったシフォンのスリーブに、眩いばかりのスパンコールを繋ぎ合わせたアシンメトリーなドレスを披露。歩くたびにシアーなヴェールがしなやかに波打ち、うっとりするほど優雅にショーを締めくくった。