アクオド(ACUOD)の2024年秋冬コレクションが、2024年4月5日(金)、東京・南青山にて発表された。ランウェイには、バンド「フィアー・アンド・ロージング・イン・ラスベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)」のSo(ソウ)、ダンスボーカルグループ「バディーズ(BUDDiiS)」の岡本聖哉がスペシャルモデルとして登場した。
2024年春夏シーズンにブランド名を「アクオド」に改め、新たなスタートを切ったとき、そのテーマとしたのが、映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』であった。そして、「florescence(開花)」を掲げた今季は、「エンドゲーム」の先にある新たな世界への到達、自己の発見を表現することを試みたという。
今季、具体的に着想源となったのが、映画『ハリーポッター』、アニメ『ブラッククローバー』や『マッシュル』である。いずれの作品も、魔法をめぐる物語で共通しているといえる。いわば、魔法という新しい世界への出発である。こうした雰囲気のなか、コレクションの軸となるのは学生を彷彿とさせるプレッピースタイルであり、テーラードコート、Vネックベストやカーディガン、シャツ、スラックスなどを展開している。
プレッピーアイテムを軸としつつ、カラーリングはモノトーン、デザインはミニマルという、都会的な雰囲気を基調としている。色彩感を抑制したブラックとホワイトで全体をまとめつつ、テーラードコートやミリタリージャケットはオーバーサイズ、Vネックベストやシャツはロング丈と、ミニマルさゆえにシルエットを際立てつつ、パンツは長短ともに取り入れるなど、コーディネートで丈感のリズミカルな交錯を引き出した。
とはいえ、デザイン性を極度に削ぎ落とすのではなく、随所にポイントとなるディテールも取り入れいるといえる。たとえば、フォルムを変え、レイヤードを引き立てるファスナーは、ボンバージャケットのスリーブ、ロング丈のベストやフーディのサイドなど、随所に取り入れられている。また、モノトーンがベースにありながら、魔法の世界を彷彿とさせるグラフィックも、ビスチェやネクタイといった細部に用いられた。
ところで、着想源として挙げられた作品は、主人公に元来魔法の力が欠けていたことで共通すると言えそうだ。それは、今季のアクオドの鍵となっていたように思われる。実際、デザイナーのチャヌは、『ブラッククローバー』の主人公アスタの「諦めないのがオレの魔法だ」というセリフに共感を覚えたという。魔法の能力を持たないアスタが、自らの努力と決意で自身の力を開花するところに真の魔法を感じたチャヌにとって、新たな世界へと赴く「魔法」とは、誰にでも潜在するものであったはずだ。