映画『マッドマックス:フュリオサ』が、2024年5月31日(金)より公開。主人公のフュリオサを演じたアニャ・テイラー=ジョイと、フュリオサの宿敵であるディメンタス将軍を演じたクリス・ヘムズワースにインタビューを実施した。
『マッドマックス』シリーズ5作目となる『マッドマックス:フュリオサ』は、これまでの主人公だったマックスではなく、2015年に公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に登場した戦士・フュリオサの知られざる過去に迫った物語。1979年から続く『マッドマックス』シリーズでは、石油や水が尽きかけた近未来の荒廃した世界を舞台に、暴徒化したバイカー集団のカーアクションや、それぞれが生き延びるための果てしない戦いを迫力満点に映し出している。
『マッドマックス:フュリオサ』では、『マッドマックス』シリーズの創始者であり、第1作から制作に携わるジョージ・ミラーが監督・脚本を務めた。
オーストラリアで生まれ、長きにわたり愛され続ける『マッドマックス』シリーズ。出演は、どんなお気持ちでしたか?
クリス:僕は幼い頃から、父と何度も『マッドマックス』を見てきました。父はバイクに乗る人だったので、実は1作目のスタントマンの中に知り合いがいるんです。(笑) 前作の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は特に衝撃を受けた作品で、なんとしてでもジョージ・ミラーと組んでみたい!と、自分のエージェントに話していましたね。オーストラリア出身の俳優として、オーストラリアを舞台にしたアイコン的な映画に出演できたことは、ある種の頂点のようにも感じられます。
ブロークンヒル(『マッドマックス』の撮影地として知られるオーストラリアの都市)は、映画で何度も見ていた場所です。実際に行くのは初めてでしたが、とても懐かしい気持ちになりました。
アニャさんは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』でフュリオサを演じたシャーリーズ・セロンさんからバトンを引き継ぐかたちの主演となりましたが、出演の決め手は何でしたか?
アニャ:ジョージ・ミラーのような、細部に至ってキュレーションを行う監督と仕事ができるということは、一つの動機になったと思います。世界観を一から構築していく映画製作の場において、確固たる作品のビジョンを持った監督に率いられることは、役者として非常に光栄なことです。これだけ狂った世界を描いてくれるジョージ・ミラーのもとであれば、もう乗っかるしかない!という気持ちでした。
過酷な世界を生きるフュリオサですが、演じていくなかで苦労はありましたか?
アニャ:私自身、寡黙なキャラクターはこれまでにも演じたことがありますが、今回のフュリオサに関しては、ただ単にセリフの少ない役というわけではありません。監督は荒野での生活がどれほど厳しく、己の感情をほんの少しでも表に出せば、それが時として死に繋がってしまうということを強く意識していたようで、私はほとんどの場面において「目だけで表現して」と指導されました。
表現者として使えるツールが目に限られるということはとても怖いことです。たとえば心の中では叫んでいたとしても、その気持ちを目だけで表現しないといけないでしょう。ですが、ジョージ・ミラーのもとで、そういった制限のある演技に挑戦できたことはとても嬉しく思いますね。
一方クリスさんは、極悪非道なディメンタスを演じられています。役になりきるうえで意識したことをお聞かせください。
クリス:ディメンタスに関して言えば、荒野で生き残るというサバイバル精神がキャラクターを形作る重要な要素だと考えていました。明日や一週間後の先のことを心配しているわけではなく、一日一日、今という瞬間をどうやって乗り切るかが彼の問題で、殺すか殺されるかの危険な状況に身を置いています。またディメンタスは、ある種の復讐心を抱えながら生きる男でもあると思いましたね。
大切な人を奪われた“復讐心”は、『マッドマックス』シリーズに登場する人物たちの生きる原動力になっています。おふたりもフュリオサやディメンタス将軍のように、復讐心に燃えた経験はありますか?
アニャ:私が復讐心に燃えるような人だったら、それが良いモチベーションとなって、もう少し色んなことをやり遂げることができたと思うのですが、残念ながらそうではありません(笑) ですが、フェリオサの「約束を果たしたい」という使命感には強く共感しました。約束を守るということは、生きていく中でとても重要なことですから。
クリス:僕も復讐心に燃えるタイプではありません。でも今回ディメンタスを演じてみて、もう一度やってみたいくらい楽しかったです。ヴィランは、ヒーローが守らなければならない期待や制限に沿って演じる必要がないので、ルール破りなキャラクターとして振り切ることができます。ユーモアを散りばめた発言や身なりで観客に束の間の安心感を与えたと思ったら、次のシーンで恐ろしく暴力的な一面を見せることも。ジェットコースターのような演技ができるのはとても楽しいです。
故郷への帰還を誓うフュリオサと、そんなフュリオサに立ちはだかる狂暴的なディメンタス。おふたりの共演シーンで印象的だった場面はありますか?
クリス:クライマックスに向けたシーンで、アニャからの“ある提案”がなければこれほど良いものに仕上がらなかったと思う場面があります。
クライマックスに向けた場面…。ネタバレにならない程度で教えていただけますか?
アニャ:元の脚本ではフュリオサとディメンタスがセリフを中心に対峙するシーンでした。ですが私は、よりフィジカルな表現をしたいと考えたんです。監督と話し合ったのは、フュリオサは神話的な存在であると同時に生身の人間であるということ。そのシーンは生身の人間としてのフュリオサとディメンタスでありたい思い、幸い監督もクリスもこの提案に賛同してくれました。
ありがとうございます。最後となりますが、今回主演を務められたアニャさんにとって『マッドマックス:フュリオサ』はどんな映画になりましたか?
アニャ:私は常日頃からノスタルジーを感じる性格なので、目の前にある美しい瞬間も苦しい状況も、いずれ思い出になることをよく知っています。特に映画作りは、まるでサーカス団員たちとどこかへ移動しながら作品を作るようなものでしょう。一度は家族のように絆を強めるけれど、いずれはみんなが別の道を歩み、散り散りになっていく。それは映画を作る誰しもが分かっていることですが、特に今回は「私たちは今、特別なものを作っているよね」という意識がありました。それは私だけでなく、私たちの人生において、何か大きな意味を持つものだと信じています。
映画『マッドマックス:フュリオサ』
公開日:5月31日(金)全国ロードショー
日本語吹替版同時上映 IMAX/4D/Dolby Cinema/SCREENX
監督・脚本:ジョージ・ミラー
出演:アニャ・テイラー=ジョイ、クリス・ヘムズワース、ラッキー・ヒューム、トム・バーク、チャーリー・フレイザー、ジョン・ハワード、リー・ペリー、ネイサン・ジョーンズ、ジョシュ・ヘルマン、アンガス・サンプソン
日本語吹替キャスト:ファイルーズあい、三宅健太、小林ゆう、津田健次郎、大塚明夫、玄田哲章、千葉繁、西凜太朗、佐藤せつじ、飯島肇
© 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
IMAXR is a registered trademark of IMAX Corporation.
Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.