展覧会「松谷武判 Takesada Matsutani」が、東京・新宿の東京オペラシティアートギャラリーにて、2024年10月3日(木)から12月17日(火)まで開催される。
松谷武判(まつたに たけさだ)は、60年以上にわたって、物質の表情や肌理、存在感と生命感に着目した作品を手がけてきた現代美術家だ。1937年に生まれた松谷は、戦後日本の前衛美術グループ「具体美術協会(具体)」の第2世代として活躍。その後は、フランスのパリを拠点に活動を続け、2017年にはヴェネチア・ビエンナーレに出品するなど、近年改めて国際的な評価を高めている。
展覧会「松谷武判 Takesada Matsutani」は、松谷の日本国内では初となる美術館個展であり、過去最大規模の回顧展。初期から現在にいたる各時代の代表作、最新作、資料、映像など、200点以上を一堂に集め、その全貌を紹介する。
1963年、「具体」の会員となった松谷は、新素材であったボンドを使い、有機的なフォルムのレリーフ状作品を発表。その出発点である、官能性や生命性、時間や運動、不可視の「力」を、造形と物質の両面から表現することは、松谷の制作に通底してゆくこととなる。本展の序盤では、《圧迫》や《作品 63-A-36》など、初期から「具体」時代にいたる作品を展示する。
1966年パリに渡った松谷は、当時、現代美術の最前線であった版画の領域で、新たな表現をスタート。イメージという造形状のモチーフを、版画という平面のなかでいかに把握し、空間的・時間的にどのように表現するかを探るなか、その作風は、幾何学的であるとともに有機的であり、鮮烈な色彩を帯びたものへと変化することとなった。会場では、パリにおける版画の取り組みに着目し、《繁殖-黒》、《繁殖-ピンク》、《日本海-8》などを紹介する。
松谷は1970年代後半より、紙と鉛筆という短な素材を用いて、制作行為が始まるところへと遡ることを試みるようになる。こうして生まれたのが、黒のストロークで画面を塗りこめ、生命的な時間を宿す表現だ。また、ボンドによる有機的な造形にも再び向きあい、そこに鉛筆を重ねた作品を手がけている。本展では、《雫》や《接点 2009》など、「黒」の表現によるさまざまな作品を目にすることができる。
近年の松谷は、ひとつの手法や表現にとらわれることのない、自由な制作を展開している。その表現は、大胆さと繊細さをあわせ持つものだ。会場の終盤では、《Soft and Hard 9-11-2010》、《二つの形》、《丸い丘》など、近年の活動に光をあてる。
展覧会「松谷武判 Takesada Matsutani」
会期:2024年10月3日(木)〜12月17日(火)
会場:東京オペラシティ アートギャラリー ギャラリー1・2・3
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティビル 3F
開館時間:11:00〜19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(祝休日の場合は翌火曜日)
観覧料:一般 1,600円(1400円)、高校・大学生 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は各種割引料金
※障害者手帳などの所持者および付添者1名は無料
※同時開催「抽象の小径|収蔵品展081 寺田コレクションより」および「project N 96 ナカバヤシアリサ」も観覧可
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)