展覧会「レオ・レオーニの絵本づくり展」が、2025年7月5日(土)から8月27日(水)まで、東京・渋谷のヒカリエホールにて開催される。
小さな魚の物語『スイミー』や、野ねずみのフレデリックと仲間たちを描いた『フレデリック』といった作品で親しまれている絵本界の巨匠、レオ・レオーニ。オランダで生まれた彼は、幼いころから欧米の各国を転々としながら育ち、20世紀のイタリアやアメリカで絵画やデザイン、絵本など多岐にわたって活躍した。1959年には初めての絵本『あおくんときいろちゃん』を出版し、その後はおよそ年に1冊のペースで新しい絵本を発表し、多くの名作を生み出している。
「レオ・レオーニの絵本づくり展」は、そんなレオーニの絵本づくりに焦点を当てた展覧会。板橋区立美術館からスタートし各地を巡回する「レオ・レオーニと仲間たち」展の絵本セクションを中心に再構成し、絵本原画の展示に加え、レオーニの世界観を映像など多様な手法で体感できる特別なコンテンツを追加。世界中の幅広い世代に愛され続けるレオーニ作品の魅力に迫っていく。
構成は、絵本制作の技法、原画から読み解くメッセージ、映像コンテンツを軸にした全3章だ。
レオーニの絵本には、ハサミで切ったり手でちぎったりした多様な紙のコラージュや、水彩、油彩、クレヨン、鉛筆、色鉛筆などさまざまな画材を使った表現が多く見られる。第1章では、多数の絵本原画を展示し、絵本作りの技法や手仕事に込めた思いを紹介する。
展示される原画には、『フレデリック』や『アレクサンダとぜんまいねずみ』のコラージュ作品がある。これらの作品に登場するレオーニが愛した“ねずみ”たちは、そのもふもふとした毛を表現するために、紙を手でちぎっているのが特徴だ。
また、同じ形のスタンプを使い、色や向きを変えて草木を表現した『あいうえおのき』の原画や、版に直接絵を描いて紙に転写する版画技法を使った『ぼくのだ!わたしのよ!』の原画も目にすることができる。
このようなさまざまな技法に加え、絵本に欠かせないのがストーリー。第2章では、絵本『6わのからす』の原画を集め、ストーリーとビジュアルが織りなす調和、そしてレオーニのメッセージを解き明かす。
そして第3章では、レオーニの絵本の世界を体感できる、本展だけの限定コンテンツを展開。絵本『スイミー』の世界に入り込んだかのような体験ができる作品や、絵本『シオドアとものいうきのこ』に描かれたキノコを立体的に再現した作品を展開。また、絵本『はまべにはいしがいっぱい』をイメージした空間では、床に魚のような姿をした石の映像が映し出され、天井からは、ぷかぷかと浮かぶ石も登場する。
さらに、360°をぐるりと囲む円形スクリーンに、レオーニの絵本に登場するキャラクターたちが映し出される「空想の庭」も必見だ。
特設会場では、日程限定でレオーニのテクニックを体験できるワークショップを開催。色を重ねた色紙を作り、それをちぎったり貼ったりしてコラージュ作品を作ることができる。レオーニ作品に思いを巡らしながら、その魅力を体感してみて。