MSGM(エムエスジーエム)が2015年春夏コレクションを、2014年9月21日(日)にミラノで発表した。
アメリカ人作家、ジョナサン・フランゼン(Franzen Jonathan)の著書『フリーダム(Freedom)』からヒントを得た今季。コレクションのキーワードは、取りつかれたように没頭する様を表す“obsession”だ。物語の中で、環境保護活動に熱心な主人公のウォルター・バーグランドは絶滅の危機に瀕している小鳥たちに、親友のリチャード・カッツは音楽に、それぞれ夢中になる。
コレクションでは、彼らを夢中にさせたものがアイコンとなって登場する。特に、小鳥のモチーフは今季の主役。光沢感のあるミカドシルクのキャミソールドレスやコートをはじめ、総柄であしらわれたり、バックスタイルに大きく刺繍されたり、大きなスパンコールで描かれたりと、愛らしいスズメやウグイスがワードローブの生地に飛び交う。
そして音楽の要素は、ストリートテイストを織り交ぜることで表現された。イエローやオレンジといったネオンカラーのミニ丈ワンピースに、黒いシースルーのフーディを重ねて軽快な装いを披露。またレターリングの装飾も目立ち、「F.R.E.E.D.O.M.」のワッペンを胸元にあしらったほか、鳥や数字とミックスしてコラージュのようにシースルードレスに飾り付けたりと、プレイフルなディテールを見せつけた。
後半は太いボーダーのノースリーブテーラードや、マキシドレスなどウェアラブルなアイテムも姿を見せるが、そこでもやはり黒いトランスペアレントのポロシャツやTシャツを重ねることで、モードなカジュアルウェアに昇華させた。
なお、コレクションではフランスのインディーロックバンド、LA FEMMEの『La Femme Ressort』がBGMとして使用された。女性ボーカルのレトロでメロウな歌声が観客の耳から離れなかったのか、ショーの後もハミングする人たちの姿が見られた。一見すると鮮やかでエネルギッシュなワードローブも、どこかクールな魅力に包まれていたのは、こうしたMSGMらしい音楽との共演があったからかもしれない。