サトル ササキ(SATORU SASAKI)の2025-26年秋冬コレクションが2025年3月20日(木・祝)、東京・京橋の戸田ビルディングにて発表された。テーマは、「Primitive Future」
"男性も憧れる女性を作る服”をコンセプトに、2020年春夏シーズンよりデビューしたサトル ササキ。デザイナー・佐々木悟は、毎シーズン、アーティストの考え方から着想を得ているという。そんな佐々木が今季インスピレーション源としたのは、画家のマーク・ロスコだ。
数学や理論での説明ではなく、感情でペインティングを見てほしいと感じたロスコは、具象から抽象へと独自の表現方法を確立。ミニマルな作風ながらも、観る者の心や感情に訴えかけるアート作品を制作していた。佐々木はコレクションを通じて、アートやファッション、ひいては物事を"感情で捉える”ことの大切さを伝えていく。
心臓の拍動のようなビート音が鳴り響き、コレクションは幕上げ。ファーストルックには、ロスコの作品を連想させるニットドレスが登場した。赤3色の糸をループ編みにすることで、ロスコが描いた繊細な色彩を再現している。バーガンディーの軽やかな生地にグレーとベージュを重ねたワンピースや、ダークグレーからバーガンディー、レッドまでのグラデーションが美しいニットカーディガンなど、"まるでアートそのものを纏う”ようなルックが後に続く。
また「性の境界をなくしたい」と語る佐々木の言葉通り、スキンコンシャスなウェアが散見された。クロップド丈のハイネックトップスや、グレーとブラックのシャギーコート、胸元を深く切り込み、デコルテラインを露わにしたニットドレスなど、フェミニンとマスキュリンの境目を抽象化させたデザインを提案する。
無駄を削ぎ落したスタイルが主流のサトル ササキだが、今季はギミックの効いた素材や小物使いも印象的。たとえばブラックのセットアップは、ニードルパンチで刺繍を施し、秋冬らしいツイード生地を彷彿とさせるデザインに。さらに、シンプルなとろみシャツに油絵のパレットを模した装飾を施したり、ブラックのトッパーコートに、球が連なったチャームをつけたり...と、キャッチーなルックも披露された。