サカヨリ(sakayori.)が発表した2015年秋冬コレクションは、狂騒の20年代と呼ばれる1920年代にインスピレーションを受けている。各国でアートムーブメントが高まりを見せ、人々がファッションで生き方を表現し始めた時代。その空気感を「フラッパー」と「ギャング」という2つのモチーフをもとに、トランズジェンダーなアプローチで表現した。
挑発的なドレスを身にまとい、奔放な生き方をすることで、かつての規範的な女性像からはみ出していった「フラッパー」。今季その影響は、「フラッパードレス」と呼ばれることもあるドレスに強く見て取れる。ダンスにも合うように作られたドレスは、ストンと落ちるシルエットが特徴的。鳥の羽をイメージしたというフリルやプリント、さらには揺れるフリンジやフェザーといった装飾に彩られてゆく。
そしてそこにギャングスタイルのエッセンスを取り入れることで、サカヨリはさらなるマニッシュさを加味した。かつてギャングが好んで着用したスーツ。このボトムスをクロップド丈やスカートへと変化させることで、大胆にリサイズし、モダンにアップデートしたのだ。さらにインナーにはフレアが揺れるシャツをコーディネートするなど、フェミニンさとのバランスを意識したコーディネートが目を引く。
コラボレーションも目立つ。例えばヘッドピースは、日本のクチュールハットの第一人者である「Haute Mode Hirata」とのコラボアイテムだ。ギャングを彷彿とさせるシルクハットとソフト帽は1枚のラビットフェルトから、カチューシャはフェザーを使用して製作した。そしてもう1つのコラボレーションが、パトリック(PATRICK)とのシューズ。パトリックの定番モデル"SULLY"のスリッポンタイプを、フラッグジャガード生地で鮮やかに生まれ変わらせた。