メンズノンノ専属モデルオーディションでグランプリを獲得後、モデルへ。ヨウジヤマモト パリ・コレクションではランウェイモデルも務めた。
俳優への転身は2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』。以後、『クローズEXPLODE』『アオハライド』などに出演し、テレビドラマ『あまちゃん』『ごちそうさん』と活躍の場を広げている。
左) ヨウジヤマモト メンズコレクション 2010年より
右) ヨウジヤマモト 2011-12年秋冬コレクション より
自分が役者になるなんて全く思っていなかったですし、なれるものとも思っていなかった。ただただ、凄いことやっているんだろうなというイメージを持っていました。
俳優の高良健吾さんとは、16歳の頃から知り合いで、同い年なんです。東京であったモデルのオーディションで出会ったのですが、僕はモデルになって、高良さんはすぐに役者に転身しました。
彼が役者になってからも付き合いはあって。同じ年月を過ごしていくうちに、自分はモデルしかやっていないのに、高良さんは芝居をやりながらモデル側の仕事に来るんですよ。雑誌『men's FUDGE』の表紙になったりとか(笑)。
当時はものすごい悔しかった。自分はモデルしかやっていなくてファッション畑で頑張っているのにって。でも同時に、それだけ特別なことやっているんだなと尊敬もしました。
そんなこんながあって、自分が役者になったとき、高良さんの素晴らしさを改めて知りました。今でも飲んだりするのですが、一歩二歩僕より先にいってる。彼はずっとずっと真面目に取り組んでいるので勉強になるし、尊敬できる存在ですね。
モデルと役者の共通点を挙げられる方もいらっしゃいますが、僕は全く共通点がないと思っています。僕がやっていたモデルの性質がそうだったのかもしれないのですが、自分がしていたファッションの仕事は、やはり服ありきだったと思うんです。日本ではスタイリストさん、フォトグラファーさん、編集さんがいて、100点を求めてこれで満点になるだろうってところでモデルがキャスティングされる。その日一日行われる撮影は、100点に近づける作業だと思うんです。
でも、俳優は本を渡されて「お前考えて来い」って。10点もあれば1,000点もあるし、逆に言えば100点これをやればいいっていうのがない世界。もちろん声も出すし、動きもあるという点もありますが、比較するのは全然違うなって思います。それを『桐島、部活やめるってよ』のときに痛感して、その後役者としてスタートを切れたなと思えたのは『クローズEXPLODE』でした。
『桐島、部活やめるってよ』のとき、吉田大八監督は、本当によく使ってくださったなと今振り返ると思います。僕は何もしてなくて吉田監督の意のままに動いて、セリフ話して。すごくぎこちなかったし、何をやっているかもわからなかった。一つの芝居をこんなに繰り返すことも知らなかったので、わからないうちに作品が終わっていました。
そこから俳優事務所に入って、ポツリポツリとレッスンを受けて、次に迎えた大きな作品が『クローズEXPLODE』。現場にいくとセリフは毎日変わる。自分の頭でっかちな知識の中では、セリフで人物の解釈って深まるのに…とか、人から聞きかじったことでいっぱいいっぱいになってて。そのとき、監督に「セリフってなんですか」って聞いたんです。そしたら「それがセリフだ」って言われました。自分の中から出てきてくる言葉がセリフであって、ただ言えばいいわけじゃないし、言われた通りに動けばいいわけでもないんだと考えさせられましたね。
そこからは濁流のように、あれがいいのかこれがいいのかって思いながら、この4年間走ってきました。もうルーキーとは言ってられないキャリアになってきたので、しっかり地に足を付けて生き残っていこうと考えています。
これは良かったかもなって思うところは、人から見て良いところとイコールではない。自分の見え方がわかってないだとか、全体の中で繋げたときに意味合いが変わって見えちゃうだとか(理由は)様々だと思うんですけど。
僕の中の指標は、事務所の社長です。最近になってやっと「やったな」って軽い言葉をかけてもらえるようになりました。それが少しの成長かな。
自分でも、出来不出来というのは線引きするのですが、今回の『デスノート』しかり全部を知っているじゃないですか。全部知っている中で出来不出来をつけるのも違うなって思うので、やっぱりご存知ない方に観ていただいて、楽しんでっていうのが映画とかドラマでは大切だと感じます。
こういう役をやっていたいというのは星の数ほどあります。ホラーも時代劇もチャレンジしたいし、舞台にも挑戦したい。挙げだしたらキリがないです。目指すのは「こいつが出ているなら観たい」と思ってくれる人を増やすこと。そういう人がどんどん増えていけばいいなと思うばかりです。
一番好きなブランドはヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)です。今も着ています。アン ドゥムルメステールもメゾン マルジェラもマルニもみんな独自の哲学を持っていますが、僕はヨウジヤマモトの哲学が好きです。
ただ、この仕事をして恥ずかしい恰好はできないなと思いつつも、現場の行き帰りで着る服に構ってられなくて。今は、着回しがしやすいシンプルなファッションが多いです。夏場はコットンスタッフの無地Tシャツを着ています。特徴として、厚地で胸ポケットが付いているんですよ。ニットだとクレプスキュール好んで着ていますね。