テンボ(tenbo)の2016年春夏コレクションが、2015年10月13日(火)に、東京・乃木坂のメルセデス ベンツ コレクションで発表された。「2015年は、戦後70年という節目の年。惨禍を経て、現在の平和がある」節目の年を超えた2016年に、継続してこの事実を認知してもらえば良いのかをブランドとして考え、ショーを構成した。
黄色いケーキを食べる“リトルボーイ”と“ファットマン”。それぞれ広島と長崎に投下された原子爆弾の名前だ。「戦争当時の悲惨さと、現代を対比すべく改めて当時のことを提示した」と、デザイナーの鶴田。星で迷彩柄を表したプリントや、千人針プリント、千羽鶴など「平和への願い」をテキスタイルに落とし込み、ワードローブに散りばめた。
昨シーズンに引き続き、車いすアーティストである佐野有美がランウェイに登場。更に、進行性難病筋ジストロフィーと闘病中の歌手、小澤綾子やジェンダーを超えたアーティスト、浜松幸など、あらゆる“壁”を取り払ったモデルが起用された。
ショーのラストを飾ったのが、約1万羽の折り鶴で作られたドレス。広島市平和記念公園の原爆の子の像に、世界中から寄せられた千羽鶴を実際に使用して、洋服を作り上げた。70年が経過しても尚、平和のために祈り続ける人がいる。そんな現実がありながら、節目の日にだけ平和を願う今の風潮に疑問を抱いていると鶴田は語る。
あらゆる形の“祈り”が世界中に届き、どんな個性を持った人も幸せになれる世界を目指して、テンボは、更なる進歩を誓っていた。