コム デ ギャルソン・オム(COMME des GARÇONS HOMME)が2016-17年秋冬コレクションを発表。
テーラードジャケットやコートは、裏地に至るまで洗いをかけたようなシワ加工が施されており、何年間も着尽したような質感。また、至る所で散見されたパッチワークも、擦り切れた部分を無作為に補ったようだ。ひと口に言えばヴィンテージライクなのだが、その風合いは絶妙で不思議と目新しさが感じられる。
斬新さのキーとなったのは、いつも通りのテーラードにドッキングさせたミリタリーな要素。4つのポケットを配したM-65や、光沢あるボンバージャケット、ゆるいカーゴパンツが幾度となく登場した。そして、テキスタイルにあしらわれたカモフラージュ柄もその所以。時に裏地まで達した模様は、袖裾を折ることでさりげなく存在感を出すことができる。
また、身頃にジャケットのスマートさ、そして袖にブルゾンのようなボリューム感を違和感なく合わせたアウターは、顕著に具現化された一着。温かみあるウールのダッフルコートも同じく、袖部分にレザーを用いて、フライトジャケットのようなエレメンツを抱合していた。
時に、イレギュラーな表現も見られた。チェスターコートはフォーマルのようだが、ボタンホールや持ち出しを切りっぱなしにして時を経て綻びるギミック。また、トレンチコートにしても、裾のステッチ部分に少しだけギャザーを寄せることでふっくらさせて着るたび味が出るように。時を絶つごとに姿をゆっくりと変えるであろうそれらは、今はまだ見えないヴィンテージ要素のひとつ。
いつものテーラードにミリタリーをハイブリットさせて築いたガーメンツは、新鮮なヴィンテージクローズとして再構築されていた。