アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)の2017年春夏メンズコレクションは、1960年代のスウィンギング・ロンドンとダスティでエキゾジックな世界を出発点にワードローブを展開。時代背景を反映した不遜な精神と、豪華絢爛な世界観が見事にマッチしている。
サヴィル・ロウのテーラリングが存分に生かされたスーツスタイルを中心に展開。しかし一括りにスーツスタイルとは言い難いほどに、ジャケット・パンツが多彩なバリエーションを見せている。ジャケットは4、6、8ボタンのシングルとダブルがラインナップ。袖がなくジレのように着ているものもあれば、丈が長くコートのようになっているものも散見される。
4つのシルエットが披露されたのはパンツ。シンプルなスリムシルエットと、膝から下のフィット&フレア、ルーズ、クロップド丈だ。タイト×タイトで細身のすっきりとしたスタイルを作ることもあれば、下を太くして重心を低くしたものも。逆にゆったり目のトレンチコートにクロップドを合わせ足元に抜け感をもたらしたものもあり、あらゆるコーディネートが1つの世界に誕生している。
多彩さはシルエットだけではない。プリントは60年代のポストカードからインスパイアされたデザインや、昼と黄昏時の霞がかったインドの風景の中にいるハチドリ。メタルやスパンコールのインド刺繍はシルクベルベットのチュニックやセレモニーコートの縁やカフスにハンドステッチされている。
60年代のシンボリックなモチーフでもあるヒマワリは、18世紀のスタイルにプラス。今コレクションのフローラルのシグネチャーは、メタリックジャカードやゴールドの刺繍で、ジャケットやコートのフロントパネルに施されている。