映画『ネオン・デーモン』が2017年1月13日(金)より公開される。
鬼才として知られるニコラス・ウィンディング・レフン監督が手がける最新作は、ロサンゼルスを舞台にモデル志望の16歳の少女がファッション業界へ深く入れば入るほど、毒を帯びた女性へと変貌していくサスペンスホラーだ。美に憑りつかれたモデル業界の煌めきと闇を、白昼夢のような幻想的な映像と音楽で描き出した。
純真な少女から自身のダークサイドに目覚めていく主役・ジェシーを演じるのはエル・ファニング。透明感あふれる愛らしさで『マレフィセント』のオーロラ姫を演じたことも記憶に新しい。本作では、全く違う表情で官能的なシーンを踏まえて演じ切る。さらにキアヌ・リーブスやオーストラリア出身のモデル、アビー・リーなども出演する。
主役・ジェシーを演じるエル・ファニングにインタビューを実施。今回の作品でキーワードとなる「究極の美」、そして2歳からスタートした自身の女優業について話を聞いた。
台本を読んだとき、とてもプレッシャーを感じました。というのも、この映画にはおとぎ話的な要素があって、彼女はその中でも、純粋無垢を体現したお姫様的な存在。周囲の憧れの的なんですよね。
私にとって新たな挑戦になったと思います。ジェシーは多層構造のキャラクターで、物語の中で彼女は純粋無垢からダークな女性に変化していきます。このような二面性のある役柄は初めてのこと。
外見ではなく心理的描写を磨き、ファッション業界という世界が表面的なものにとどまらないよう深く掘り下げて本作に挑みました。
撮影当初、私とジェシーは同じ16歳。だからこそ共感できる部分はありました。例えば、仕事場の中で一番若い立場であるということ。モデルを目指す若い彼女が、周りの目を気にしてナイーブになってしまう面も共有できたのでは、と思っています。そして、夢を抱いて小さな街から上京してきたという境遇も一緒です。
こうして自分との共通点を見つけながら、そしてレフン監督と話し合いながらキャラクターを少しずつ固めていきました。
2歳から女優業をしている私にとっては全てが小さな転機。撮影の時は自分と違うキャラクターを演じていて、その間は完全に自分ではなくなっている。仕事が終わって家に帰るたびに「あ、自分変わったなあ」って思ったり、私生活ではありえない世界を演技の中で体験して、世の中を自分がとても知っているような気持ちになったりしますね。意識せずとも常に現場で少しずつ成長している気がします。
ジェシーを演じることも間違いなく転機のひとつ。そして、次に公開が決定している『20TH CENTURYWOMEN(原題)』の中で演じた役も同様ですね。時を重ねていく毎に演じる役柄も子供ではなく若い“大人の女性”の役が増えていて、最近はいわゆる誰かの娘とか子供という役から脱却しているというのを感じます。
よく周りからは「すごく大人だね」という風には言われるのですが、やっと4月に18歳になり高校も卒業したばかりなので、まだまだ変わらず自分は子供だっていう気持ちでいます。それでもチャレンジは次々と降りかかってくるし、最近になって熟した“大人の女性”を演じられる機会も増えてきました。実は、そういったことが私にとってはとても嬉しいこと。
なぜなら、そういった“大人の女性”の方が映画を見る女性たちからも共感を得られる部分が増えるでしょうし、私自身も今後はもっとそのような役を演じてみたいですね。
美への脅迫観念は、現代の女性たちほとんどが持っていることだと思います。でも「究極の美しさ」に必要なのは自分らしくあること、生まれ持っての個性を大切にするということなのかなと感じるんです。
これは『ネオン・デーモン』の核心部分でもあるところですよね。私達の生きる世界というのはSNSをはじめとして、常に画像を見ていることが多いから、外側だけに目を向けてしまいがちな気がします。どんな服を着るのか、どんなメイクをするのか。映画のようにそんなことばかりに執着してしまうことは、とても悲しいことではないでしょうか。
そうですね。誰にも似たくないですし、できれば“恐れしらず”を心掛けていきたいです。
例えば、メイクはレッドカーペットなどの時以外はほとんどしません。でもマスカラやラインを使ってアイメイクだけは実験的に楽しむようにしています。そして、この作品をきっかけにグリッターにもはまっていて、今はよりチャレンジングなメイクもしています。
ファッションではガーリールックが多いのですがボーイッシュなスタイルもしたいし、とにかく全部にトライするタイプ。
先ほども話したように、本当の美しさはその人が生まれた時から持っている個性。人が美しいと感じるものだってそれぞれですしね。人目に囚われるのではなく、自分自身が純粋に美しいと感じるものをキープすることが大切なのだと思います。