モスキーノ(MOSCHINO)は、2018-19年秋冬コレクションを2018年1月13日(土)にイタリア・ミラノで発表した。
今季のモスキーノは、近年の色に溢れたコレクションとは全くことなる“黒”の世界。スタートを飾ったのは、“半分しかない”スーツスタイルだ。ジャケットの袖と胸より下がサスペンダーで繋がっていて、肩が大きく露出する。次に登場する男性も同じで、肩から掛けたサスペンダーによってジャケットがつなぎ留められている。こうした正装のアレンジは後へと続き、タイトなスーツの上からコルセットを巻いてみたり、ワイシャツの肩をくりぬいてその部分をレザーバンドで留めてみたり……。意外性のある肌の見せ方は今季の特徴のひとつだろう。
同じくフォーマルルックでは、男性でも女性でもまるでモーニングコートのバッグシルエットをさらに延長した丈の長い変形アウターがトレーンを引く場面が印象的であった。よく目を凝らしてみれば実はそのジャケットは鏡面対称のようなデザインで、床に放たれた裾の部分には、袖が付いている。もっと言えばグローブつきのものだって存在している。
強烈な印象を放ったのは、序盤から幾度となく現れた全身スーツである。先述したような、肌を見せることに寛容であったルックとは対照的。“黒い物体”が、顔までをしっかりと覆い、自分が何者であるかをかくしてしまう。しかし、その上から着る洋服は、肌の上から身に着ける服にはない、強さと色気をもっている。
ランウェイを追うごとに、ウィメンズのセンシュアルな部分を引き出す洋服は多様化をみせる。ボディコンシャスなドレスは、レザーなどのエッジィな素材使いに加えて、レースアップやバックルベルトなどでタフに表現。時には肌の上にアートを映し出して、男性にはない色気を掻き立てる。
メンズは極めて男性的なものもあれば、極めて女性的なものもある。前者で言えば、後半に登場したミリタリーの潮流で、トレンチコートはショルダーのデザインは私たちがよく知るデザインそのままであるが、裾にかけてはまるで古典的な燕尾服を想わせるフォルムをしている。
一方後者で言えば、明らかにフェミニンを助長したオーガンジーやチュールをレイヤードするディテール。終盤に至っては、オーガンジーをスーツの上から重ねてみせている。そのインナーには女性のセンシュアルな部分を引き出したアイテム“コルセット”も巻いていて、それまでランウェイにおいて男性性を象徴していたブーツやピンストライプのスラックスも、瞬く間に性差の撤廃されたスタイルへ溶け込んでいる。