アクネ ストゥディオズ(Acne Studios)の2017年プレフォールコレクションは、ロックバンド「プライマル・スクリーム」のボビー・ギレスピー(Bobby Gillespie)にインスパイアされ、彼が10ルック目までモデルを務めた。
クリエイティブディレクターであるジョニー・ヨハンソン(Jonny Johansson)は、着こなしによる自己表現に常に関心を持っており、中でもミュージシャンに想を得てきたという。本コレクションでも、本来はレディースのウェアを男性が着こなすなど、個性的なアイテムをどうコーディネートするかがポイントとなっている。
ボビーが着こなしたのは、縦ラインを強調した服たちだ。縦ストライプの入ったテーラースーツのトラウザーは長すぎる丈が印象的。長い丈によって足元にはドレープが溜まっている。
モロッコ風ストライプ柄のカフタン(中東諸国の丈長の上着)も、胴に切り替えがなくストンと落ちて、縦のラインを主張している。ユニークな丈感覚はここにきて、トップスとワンピースの境界すらも曖昧にした。理髪店で着せられるケープから形をとったという明るいブルーサテンのウェアも、トップスなのか、羽織りなのか、ドレスなのか分からない。
しかし、後半のルックになると、丈感の遊びに加えてボリュームにも動きが出てきた。毛足の長い羊毛のジャケットやコートは、身体のシルエットを丸くし、ダークトーンのジャケットやワンピースは、ウエストからヒップにかけて緩急をつけた。それぞれが主張をし、型にはまろうとしないアイテムだが、自由な発想のコーディネートによって普遍的な美しさをとどめている。