映画『ジョン・ウィック:チャプター2』(通称 ジョン・ウィック 2)が、2017年7月7日(金)より全国の劇場で公開。キアヌ・リーブス演じる最強の殺し屋が再びスクリーンに帰ってくる。
アメリカでは2014年、日本では2015年に公開された映画『ジョン・ウィック』の見所は、派手な格闘シーン、そしてなんといっても撃って撃って打ちまくるノンストップ・キリング・アクション。『マトリックス』でスタント及びスタント指導したチャド・スタエルスキーが初めて監督として手掛けた作品。それだけにガンアクション、カンフーなど武芸には徹底的な拘りがある。日本のアニメやマカロニウェスタンからも影響を受けたと言われている。
最新作『ジョン・ウィック:チャプター2』でも、もちろん近接戦闘アクショ ンに特化したアクションシーンは健在。全世界の殺し屋とのバトルロワイヤル開始とばかりに地下鉄での肉弾戦から鏡張りの部屋、さらにはパーティー会場で華麗に敵を打ち殺していくシーンなど、激しい闘いのオンパレード。銃とカンフーを融合した新感覚アクション“ガンフー”がよりスケールアップして繰り広げられる。
もさらにパワーアップしたアクションを演じきった主演のキアヌ・リーブス、『マトリックス』時代からキアヌとは長年の仲であるチャド・スタエルスキ監督にインタビューを行った。注目すべきシーンや、2人の間柄から生まれるアクションや舞台のアイデアなど、オリジナリティ溢れる作品の裏側に迫る。
『ジョン・ウィック:チャプター2』は、より様々な部分がスケールアップしていますが、最も進化した部分はどこでしょうか?
キアヌ:
まずはやはり、世界観をさらに広げたいという意志を持っている監督の存在そのものですよ!
内容でいえば、殺し屋たちが利用する組織であるコンチネンタルのさらに上にある新しい組織や、『マトリックス』でも共演した、ローレンス・フィッシュバーン演じるバワリー・キングという地下社会を束ねるキャラクターが登場する。それから、ユーモアもかなりステップアップしたのではないかと思います。アクションの展開もより多様に、そしてよりハイテンションなものになって…もう全部の意味で進化していますね。
では、監督から見たキアヌ・リーブスさんがパワーアップしたと思う部分は?
監督:
アクションで新しいスキルを身につけてくれて、本当に感心しました。かなり時間を割いて鍛錬してくれ、武器、ガントレーニング、カースタントと、もう一度挑戦してもらいました。しかも演技ではイタリア語も話さないといけない。演技にスタントも、頑張ったとしても実際に現場でやるとまた違ったりする。でも彼は現場でもちゃんとやってのけて…やはりその辺りは見ものでしたね。
キアヌさん、現場でのアクションシーンはどうでしたか?
キアヌ:
うーん、どうでしょう。最高のチャンスを与えられて、とにかく楽しかったのですが、監督が目指しているレベルが非常に高くて…それに対して自分ができることを超えていたと言いますか…。だから、常に遅れをとっていたような気がしていて。「あのシーン、ちょっとイマイチだったかな…。もっと上手く出来たよな…。でも体の方がついていかなかったんだよ…」みたいに。撮影していて本当に辛かったのは、監督が求めているものに応えられないと自分自身が感じたことでした。
監督:
いえいえ、作品を見れば分かりますが、実際のところ、全くがっかりするようなことなんてありませんでしたよ!本当に頑張り屋で、チャプター2がよりレベルアップできたのはキアヌのおかげです。
レベルアップと言えば、舞台がローマとNYに広がりました。
キアヌ:
ローマはずばり歴史。有名な教会はもちろん、マフィアにとっての聖地も存在する。歴史があるところを背景にすることで、世界観や映像に厚みがうまれ、観客のみなさんがより映画に引き込まれていくと思います。
監督:
いい景色の前でアクションをすると映像として映えますよね。まずはそこを意識しました。それに加え、私がもう一つ決めていたのは、ジョン・ウィックの世界を作る上では、今までに見たことのないものを作らなければいけないということ。皆さんもNYというと色々なイメージをお持ちだと思いますが、未知のスポットを探しに探してジョン・ウィックの世界に加えていきました。
俳優人や監督、舞台などのスケール感が増している一方で、バトルシーンでは細かいアクションが増え、そこがアクションファンにはたまらない部分だと思います。
監督:
ハリウッドのアクション映画をよく見るとお気づきになるかもしれませんが、往々にして、銃弾がなくなるところや、弾を再装填するところは見せません。銃撃戦のスピード感がだいぶ落ちてしまいますから。難しくて見せられない。
そこでジョン・ウィックでは、もっとカメラをワイドショットで引いて、あえて見せることをしました。
実際に銃弾がなくなった時にジョン・ウィックだったらどうするのか?
そんなことを考え、思い切って見せることにしました。装填はかなりスピーディにやらないといけないので、発砲する以上の練習を要請します。かなりトリッキーで大変なのですけどね。
舞台やアクションと細かなところからジョン・ウィックらしさが生まれるのかもしれませんね。
キアヌ:
私もチャドもアクション映画が大好きで、ちょっとクレイジーだけど完璧主義なところが似ています。ものに対する興味の方向性、テイストも合っていたし、そこにアクションデザイナーも交えて話し合うことで世界観を固めていきました。
3年前の『ジョン・ウィック』、それからチャプター2と続きましたが、その間は常にトレーニングをして準備しているのですか?
キアヌ:
実際に銃の練習はしています。撮影も、トレーニングもすごくいい時間で本当に楽しかった。もし3本目を作るのなら、チャドと少し話して分かっていることは、彼のビジョンを満たすためにもっと私がトレーニングを頑張らなければいけないということかな。(笑)まあ、それは自分にとっては良い経験でもあるのですが…。
監督:
頑張ってもらわないとね。(笑)
監督はジョンにまだまだ新しく求めることがあるのですね。
監督:
まず、さらなるスキルのレベルアップをお願いしようかなと。(笑)
ナイフ系の格闘、あとはバイク×カンフーの組み合わせをギリギリまで挑戦したいですね
キアヌ:
舗装されていない道路での、バイクを練習しないと…。そうだチャド、馬とか?
監督:
馬×カンフーの組み合わせもありですよね。確かキアヌは馬に乗りながらのバトルシーンの経験はあったはず…。今、新作脚本の執筆中なのですが、もうここでジョン・ウィック3の脚本が出来上がっちゃいますね。(笑)
では、最後にこの映画で観客に注目してもらいたい見どころは?
キアヌ:
ソムリエのシーンじゃないかな。
ジョンがワインでもテイスティングするのかなと思いきや、ソムリエが出てきて…まさかの兵器のテイスティングのシーン。あれには、驚きますよ。
あんなシーンは他の映画で見たことないですから、観客の方々にとって特に非日常な作品体験になると思います。
監督:
一番クレイジーなシーンかもしれませんね。いかにも『ジョン・ウィック』的な、オリジナルなシーンに仕上がっていると思います。
裏社会では誰もが語る伝説の殺し屋ジョン・ウィック。それでも最愛の女性ヘレンとの出会いがをきっかけに、殺し屋をやめ結婚生活を送っていたが、ヘレンは病死。その後も彼女が残してくれた子犬と穏やかな日々を送っていた。そんな中、ロシアン・マフィアが家を襲い、子犬も車と全てを奪われてしまう。ニューヨークを舞台にたった独りで組織に対し、壮絶な復讐劇を繰り広げていく。
その続編となるのが『ジョン・ウィック:チャプター2』。前作の最後で殺し屋稼業から足を洗い、静かに暮らしていたジョンだったが、彼の元に再び“血の香り”が。今度はローマ、ニューヨークと世界を舞台に、ジョンと殺し屋たちの死闘が再び繰り広げられる。
ジョン・ウィックを演じるキアヌ・リーブスは、しばらく低迷気味な評価を受けたこともあったが『ジョン・ウィック』のヒットで完全復活を果たしている。キャスト陣には、前作の面々に加え、映画『マトリックス』以来の共演となるローレンス・フィッシュバーンも出演。