アニエスベー(agnès b.)の2018年春夏コレクションが、パリファッションウィーク最終日の2017年6月25日(日)にフランス・パリで発表された。
アニエスベーが、16歳の時に出会ったパブロ・ピカソという一人の天才。キュビスムの創始者である絵画の巨匠は1973年にこの世を去った。彼が今生きていたらどんな服を着るのだろうか。今シーズンは、そんなアニエスベーの空想がインスピレーション源だ。
油絵で描かれたようなグラフィカルなモチーフは、Tシャツのフロント部分だけでなく、セットアップ全面に配した。さらには絣模様や幾何学柄なども採用するなど、ピカソのことを思いながら生まれる洋服は彼の多角的視点と同じく多様性に満ちている。
生涯の中で、作風が目まぐるしく変化したことでも知られるピカソには、いつまでの変わらない青空を贈った。オープンカラーのシャツには空を投影。一方、雨の日でも空を眺められるように、それからシンプルでもピカソらしく遊び心を忘れないように……、オーソドックスなステンカラーコートは裏地を空模様にしている。あるいは、色彩に満ちた総合的キュビスムの時代を開花させる、鮮明なカラーの組み合わせが今シーズンは目立っている。
しかし、アイテム自体が変形しているなど、フォルムでのアーティスティックな表現は見当たらない。むしろ、テーラードなどもきちんと用意している。あくまでブランド得意のフレンチシックの中で、この空想を具現化している。