Q.なぜ仲良くなれると思ったんですか?
長澤:柔らかい人だなって感じたんです。
山田:その頃の僕は、やっと東京、芸能界という場に慣れてきた頃。素直に人と付き合えるようになって、純粋に仕事を楽しめるようになってきた時期だったと思います。長澤さんと初めて出会った時は、幼少期から過ごしてきた鹿児島を離れて、東京に出てきて、芸能界に入って。自分にとってとてつもない大きな変化が2つも起きたので、仕事場にも東京という場所にも慣れていなく、閉鎖的になっていたんだと思います。
Q.久しぶりの再会。10年ぶりに再共演されて互いの印象に変化はありましたか。
山田:長澤さんがこんなに明るい人だとは思っていなかった。最初から長澤さんに対してイメージが固まっていたわけではないのですが、勝手にもっと気だるいイメージがあったんで。
今回一緒になって、こんなに気さくで面白い人なんだって気付かされました。
長澤:若い頃の私は無愛想だったんですよ(笑)。私は、何に対しても楽しめる山田君の姿勢に魅力を感じました。お芝居をしていく上で、現場でどう過ごすかとか日々の過ごし方は大事だと思うんです。そういう細かいところに気を使えていて、現場をちゃんと受け入れて楽しんでいる。俳優としてどうあるべきかという根本的な部分と、きちんと向き合うことが出来ていてえらいなって思いました。
Q.久しぶりの共演はキスシーン。そして山田さんにとっては久しぶりの恋愛映画となりましたね。
山田:キスシーンを通して感じたのは、長澤さんにはヒロインの瑠衣に通じる愛嬌があること。瑠衣は1日しか記憶が持たないという特殊なキャラクターなのですが、そんな彼女に対して僕が演じた大輔は、毎日毎日アプローチして恋を実らせるために頑張り続ける。瑠衣は大輔を毎日惹きつける魅力を持った女性じゃないといけない。この瑠衣のキュートさを自然に出せる人はなかなかいないんじゃないかな? 長澤さんが持っている天性のかわいらしさは、何か努力をして出てくるものではない。元々備わっている人間性の部分なので、そのかわいらしさこそ長澤さんの圧倒的な魅力だと思いました。
長澤:私は、山田君は人を楽しませるユーモアをもっている人だと思うんです。そして、自分がちゃんと楽しみながら物事と向き合える力もある。今回、台本を読んだ時に大輔役は山田君しかできないんじゃないかなと純粋に思いました。人を楽しませて、同時に自分が楽しめる人じゃないと、大輔みたいな優しい役を演じられなかったんじゃないかな。
Q.映画『50回目のファーストキス』といえば、お二人のノリツッコミによるコミカルなシーンも見所ですよね。
長澤:コミカルなシーンを真剣にやること。やはりこれは難しかったですね。笑いを狙った芝居にならない様にする事が大変でした。
山田:そうですね。コミカルな部分は真剣にやらないと笑えないんですよ。笑わそうとしてやると面白くならない。
でも、役者が真剣に演じることはどんなシーンにも通じる大切なポイントなんです。例えば泣けるシーンも、演じている側が泣かそうとしていると、見ている人は冷めてしまう。登場人物が本当につらい状況に置かれていることを客観的に見た時とき初めて、観客もつらい心境になる。笑いだけじゃなくてどんなシーンでも、芝居というのは本気になってやらないといけないんです。
脚本・監督を務めるのは、映画『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』で2017年ヒットメーカー・オブ・ザ・イヤーにも輝いた、今最も忙しい監督の一人福田雄一だ。福田監督は、映画『50回目のファーストキス』は初めてラブストーリーにチャレンジする。
主人公・大輔の親友、ウーラ山﨑を演じるのは、TVドラマ『勇者ヨシヒコ』シリーズや『銀魂』など、福田組おなじみのムロツヨシ。娘である瑠衣の幸せを願う一癖ある父親・藤島健太を、福田組常連の佐藤二朗が演じている。記憶障害の姉、瑠衣を献身的に支える弟・藤島慎太郎役を演じるのは、若手演技派俳優の太賀だ。
また華のある若手注目勢も見逃せない。アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』から生まれたアイドルグループ「Aqours」のメンバーである小宮有紗や、バラエティ番組でも活躍しているモデル・青山めぐ、『MORE』の専属モデルと女優業を両立する逢沢りな、モデル・想乃らが出演する。
主題歌は、平井堅が書き下ろした新曲「トドカナイカラ」。好きな人に気持ちを伝えても次の日には相手の記憶が消えてしまうという切ない感情に寄り添ったラブソングで、映画をドラマチックに盛り上げる。映画版ミュージックビデオでは、本作で何度も恋に落ちる大輔と瑠衣の幸せな瞬間やすれ違っていく切ないシーンなどが描かれている。