エンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)の2018-19年秋冬コレクションが発表された。今季は、ネペンテスの30周年を迎える記念すべき年であり、創作の過去を見返し、さらなる前進に向ける第1歩でもある。
赤と黒。この2色は、これまでの歴史において、常に心に何かをもたらす色だった。アメリカの画家であるマーク・ロスコ、クラフトワークの楽曲「The Machine」など……。今季はそのカラーパレットに改めてフォーカスしたのだ。コーデュロイやウールメルトン、コットンフランネル、アニマル柄のジャカード。エンジニアド ガーメンツのフィルターを通したそれらは、すべてが同じ色なのに、ひとつひとつがきちんと個性を持っている。
赤と黒の世界の中で、特筆すべきはバッファローチェックのテキスタイル。これはウールリッチの素材だ。エンジニアドガーメンツが、はじめて海外進出した際に使用した素材でもある。生地の使用部分によって赤にも黒にもかわるほどピッチの大きなチェック柄は、ブランドらしさを演出するとともに、赤と黒の力強さを蓄える。鈴木がフランスのテイラーで出会った、オーストリアの老舗「ローデン社」の素材も同様、赤と黒によって物語が紡がれた。
今季を象徴するカラーパレット以外に、秋冬で幾度となく登場しているグレーツイードなども提案している。その中でもピックアップしたいのが、バブアー(Barbour)のアウター。スーツの上から羽織ったポンチョは、バブアーならではのオイルド加工によるしっとり感と絶妙なハリ、まるで何年もともに過ごしてきたかのようなユーズド感だ。
また、ミリタリーやワークウエアの中に、民族調の要素を交えたスタイリングはブランドらしさの象徴。例えば、コーデュロイをパネル化したダブルニーのパンツ、千鳥格子とブロックチェックを組み合わせたジャケットなど。フォークロアの要素が、“赤と黒”の作る情熱的な世界とは相反した優しさを感じさせる。