クオン(KUON)の2018年秋冬コレクションが、2018年3月24日(土)、東京・渋谷ヒカリエで発表された。
"新しいものは古くなるけれど、美しいものはいつまでも美しい"というブランドコンセプトのもと、特定のテーマは設けず、シーズンごとに新しいピースを生み出しているクオン。東京コレクションへの参加、ランウェイショーの開催、共に今シーズンが初めて。「TOKYO FASHION AWARD 2018」の受賞によるピッティ・イマージネ・ウオモへの出展、パリでの展示会を経て、手ごたえを感じてのコレクション発表となった。
古着や古布が持つ歴史や文化を重要視するクオン。注目すべきはやはり、日本の伝統的な織り方や刺繍を取り入れたファブリックだろう。使い古した布を細かく裂き、端切れを合わせた裂織(さきおり)はカーディガンに落とし込まれ、やわらかな風合いと鮮やかな色彩を生みだしている。
本来は暖かさや丈夫さを確保するために布を重ね糸を刺して縫い合わせる"刺し子"は、異なる柄を組み合わせることによって、美しいパターンを描いている。トップスのアームに施された市松模様も東北地方の伝統的な刺し子織によるもの。
染色方法にもこだわっており、深みのあるブルーのコートは人類最古の染料とも言われる藍で染め上げ、暖かみのあるブラウンのパンツは奄美大島の泥染で仕上げている。
ショーの後半に現れるのは、使い古して役に立たなくなった布や、着古してつぎはぎだらけになった洋服"襤褸(ぼろ)"から生まれた1点もののピースたち。シグネチャーラインであるボロ(Boro)ジャケットは一旦生地を解体し、ゼロからパターンを起こすことで、歴史を紡いできた洋服たちを現代のファッションとして蘇らせている。またパッチワークのジャケットは、ボロジャケットを作る過程で出た切れ端を縫い合わたもの。古着や古布で作られた洋服たちは、単に温かみのある表情を魅せてくれるだけではなく、その洋服を着ていた人たちが積み重ねてきた日常に想いを巡らせたくなるものばかりであった。