フェンディ(FENDI)の2019年春夏メンズコレクションが、ファッションウィーク最終日である2018年6月18日(月)に発表された。
前シーズンまでのポップなテイストはごく少なく、ストリートに舵を切ったフェンディの2019年春夏コレクション。また新しいフェンディの一面に出会えることに、観客たちは皆ワクワクしたはずだ。
赤と黒。今回のミラノコレクションではネオンカラーや原色を多用しているブランドが多かったが、フェンディはこの2色、そしてブランドのアイコン「FFロゴ」のキーカラーであるブラウン系パレットを採用している。
春夏にしては軽やかさのない色合いだが、それを払拭するファブリック遣いが今季の特徴だ。キー素材はメッシュで、黒のジャケットとコート、アノラックパーカー、スラックスなどに採用している。ブルゾンに至っては、射線状にレザーとメッシュを切り替えた。さらに、フェンディならではのクラフトマンシップが光ったのは、パンチングレザーによるラグジュアリーなメッシュだ。
徐々に加わっていくクラシックな「FFロゴ」は、ストリートスタイルの中にごく自然に馴染ませている。アイコンバッグ「ピーカブー」のコンパ―トメント部分に、トラックパンツのサイドラインに、そしてレザーコートのヘムに。密かに配されるだけでなく、大胆にもあしらわれていて、赤い“F”を全面に描いたマウンテンパーカーやシャツなども登場する。
ランウェイ中盤には、シーズナルカラーとブランドのアイコンがより強い交わりを見せ始める。交われば交わるほどに、序盤よりも優しい印象が生まれていく。なかでもチェック柄はその最たる例で、ブラウンとレッド、そしてブラックが交わるタータンチェックは、ベースカラーが徐々にライトになることで、雰囲気をがらりと変えた。そして、黒と赤の力強いカラーパレットに、イエローやホワイトなどが仲間入りしていく。
それでもやっぱりストリートの潮流は消えることなく、「FFロゴ」を全面に配した開襟シャツやコーチジャケット、ボトルネックのスポーティーなトップス、スニーカーソールのクラシカルローファー、ウエストポーチやサコッシュ、バスケットハットなどの小物類までを提案。前から見えればエレガントに見えるベージュのスラックスには、序盤と変わらずサイドラインが挿入されている。
そして最後に注目しておきたいのが、「FFロゴ」と同じく象徴的に用いられていたモチーフ。フェンディが生まれた街「ROMA」と、イタリア語で愛を意味する“アモーレ”から派生した「AMOR」だ。両者の深い繋がりを表すこのロゴは、ハートとともにプルオーバーに登場しただけでなくバッグやスポーツサンダル、さらにはモデルたちの手の甲にまで描かれている。
フェンディと愛の関係にもフォーカスした今季。今思い返せば序盤から登場した赤色は愛を示すカラーであり、黒はそれを際立たせる色としてシーズナルカラーに選んだのではないかと考えさせられる。