アレキサンダー ワン(alexanderwang)は、“アメリカンハスラー”をテーマに掲げた 2019年メンズフォールコレクション「コレクション 2」をニューヨークで発表した。メタリックベンチが並んだ金庫をイメージしたランウェイショーの会場には、“ハスラー(詐欺師・ギャング)”たちが集った。
ファーストルックから続けて登場したジャケットは、肩幅がやや大きく設定されたボックスシルエット。細身のすらりとしたスーツに見られる“モダンさ”はなく、どこか古めかしさの感じられるものだ。その風貌はまるでアメリカ映画のギャングのような雰囲気。恐らく、開襟シャツをややハイウエストの2タックパンツにタックインしたスタイル、ベストとスラックスとのセットなども同じく、ハスラーたちのスタイルを模したものだ。
今回のコレクションは、アメリカンハスラーを表しているとは言え、その当時をそのまま反映させているわけではない。ワンが伝えたかったのは、固定概念に縛られない、自分の価値観を大切にするハスラーたちの存在だ。
モダンなエッセンスは“スポーティ”なテイストによって加味された。ニットやシャツには、スウィムウェアのようにタイトなパンツを合わせ、クラシカルなチェスターコートにはベストと、そのインナーとしてロードレース選手が着用するようなタートルネックを合わせている。
さらに、現代的な解釈を加えるテイストミックスの遊びには、アヴァンギャルドとクラシックが交錯し、アレキサンダー ワンらしさで溢れている。先に述べたスウィムウェアの組み合わせもそうだが、ウールコートやブラックレザーのパーカーと、涼し気なストライプのショートパンツの組み合わせなどによって生まれた先駆的なスタイルが、これまでの固定概念を覆し、現代の“アメリカンハスラー”を表している。