パリファッションウィークで発表された、ディオール(Dior)が2013年春夏コレクション。ラフ・シモンズがクリエイティブディレクターに就任して、これが初のプレタポルテコレクションとなる。1947年にスタートした偉大なメゾンの歴史を紐解き、現代的に生まれ変わった新生ディオールのスタイルは、セクシャルでエモーショナル、そしてフェミニンな雰囲気。そこへシモンズの愛するミニマリズムが融合し、動き、軽やかさ、透明感、そして遊び心がキーとなった。
メゾンを代表するアイテムであるバージャケットは、クチュールメゾンならではの美しく構築的なラインを描く。他にもAライン、Hラインなどムッシュ・ディオールが生み出したシルエットが、重なり合う構築的なプリ―ツや、アシンメトリックなデザイン、ミニのスカート丈でモダンに仕上げられている。
シモンズは、活動的な現代女性がのために、どんな動きをしても魅力的に見えるようにと考え抜いたデザインを随所に散りばめた。例えば、新しい刺繍の提案。サイドにラインのように入れたり、プリーツのひだに施すことで、身体が動きに合わせて見え隠れするきらめきがその動きを強調する。また、7月に発表されたオートクチュールコレクション同様ほとんどのアイテムがポケット付。これは機能性ではなく、ポケットに手を入れるというジェスチャーを実現させるためのものだ。
"レイヤード"も重要な要素。ドレスの上にさらにチュールやレースのドレスを重ねたり、表裏で異なる色を重ねたシースルー生地を使うことで、トーンのミックスによる表情の変化を楽しんでいる。ラストはオートクチュールと同じバルーンシルエットのルックが登場。ニットのトップスに、虹色のシースルー生地を重ねたバラのプリントのスカートを組み合わせた。
バッグでは、新定番として「Dior Bar」が登場。ディオールのアイコニックな砂時計シルエットをフォルムに落とし込んでいる。クラッチバッグはT字のメタルのハンドルがユニーク。人気の「Diorissimo」は、マットなパステルカラーが春らしく、メタルのパーツまで同じ色でカラーリングされている。スカーフのようなチョーカーは、世界的帽子デザイナーのスティーブン・ジョーンズによるもの。シューズはメタリックカラーのポインテッドトゥで、ヒールのラインが特徴。シューズ、アイウェアとともに、左右非対称のデザインがコンテンポラリーなムードだ。