ファセッタズム(FACETASM) 2020年春夏メンズコレクションが、2019年6月19日(水)にフランス・パリで発表された。
今季のコレクションの主役となるのは、サンフランシスコに本社を置く人気ジーンズブランドリーバイス(Levi's)のコラボレーション。古くから愛されるリーバイスのアイコニックなアイテム 501、トラッカージャケット、ウエスタンシャツの3つのアイテムに焦点をあてたファセッタズムは、ブランドらしいプレイフルな解釈で、新たなワードローブへと進化させていく。
ショーの始まりと共に、観客の視線はその楽し気なワードローブに注がれていく。ファーストルックに登場したデニムのセットアップには、洋服に配した大量のハトメに革紐を通して、フリンジのような装飾を演出。ウエスタン風にも見えるそのルックだが、ジャケットから“だらん”と伸びる超ロングな紐は、いささか過剰ともいえる量。モデルが動く度に、裾や襟元、袖口などから垂れ下がる紐がゆらゆらと揺らめき、予測不可能な動きを描く。
ランウェイに次々と登場するトラッカージャケットには、デザイナーの遊び心と共に、様々な要素が隠れていることに気付かされる。リーバイスの複数のモデルを組み合わせて、ビッグシルエットに仕上げたトラッカージャケットは、フードが内蔵されたM65をドッキングしたもの。
またバイカージャケットから着想を得たトラッカージャケットは、モデルの体躯に寄添うナローなシルエットが特徴。ジャケットの下には、エネルギッシュな赤のチェック柄のワイドなセットアップを差し込むことで、男性らしい力強さもプラスしている。
大胆なカッティングが施されたテーラリングのワードローブには、デニムで出来たベストを上からレイヤード。そのベストはオーバーオールのディテールを引き継いでいて、後ろからみるとストラップがクロスされている。またそのストラップの行き交う先には、それぞれ異なるデニム生地があしらわれているのも面白い。
コラボレーションの披露が終わると、ランウェイを埋め尽くすのは黒と白に分かれたワードローブ。ブランドロゴをアクセントに、オーバーサイズで仕上げたストリートスタイルが展開される。そんなモノクロの男性服から見え隠れするのは、女性性の強いディテール。ビッグシルエットの黒のジャケットに合わせたパンツには、ブラックのフリルをあしらって。またレースをたっぷりと配したドレスのようなワードローブも登場する。
ラストには、ジャケットの大きな襟を荒々しくたてたモデルが登場。けれど視線を下にずらすと、ボトムスの片側だけが解体されていて、アシンメトリーのスカートのような優雅なシルエットを描いている。ファッションを楽しむことに、性別の垣根はない。そんなデザイナーの遊び心を垣間見た気がした。