トム ブラウン(THOM BROWNE)は、2020年春夏メンズコレクションを、2019年6月22日(土)にフランス・パリで発表した。
会場内に入ると、カラフルなガーメントケースのように、平面的なウェアに身を包んだモデル達がずらりと並ぶ。オブジェのように佇むモデル達を前に、これから何が始まるのだろう……と待っていると、突如トロンプルイユのトップスとパニエに身を包んだバレリーナが舞いながら登場。舞い踊るバレリーナと、ガーメントケースを外し、トラッドなセットアップにボールを抱えて立っているモデル達。連想させるのは、フィジカルでスポーティーなムードだ。
“My secret garden.”と名付けられたコレクションでは、レクリエーション活動としてのスポーツを楽しむのに最適な“秘密の庭”を描き出す。18世紀の仕立てから発想される、身体を誇張したピースが展開された。
象徴的なのは、クリノリンスタイル。クラシカルなジャケットとパンツのセットアップは、クリノリンに合わせたボリュームのあるフォルムに仕立てられている。イエローやレッドのシアサッカー素材に、シンボリックなトリコロールのリボンを並べたルックは、淡い色味や、ジャケットに施されたソフトなキルティング、スカート部分の端正なプリーツが相まって優雅な雰囲気に。明るい陽の光が差し込む“秘密の庭”にぴったりの、ラグジュアリーな装いを提示する。
その他、コンパクトなジャケットにタイトなウエストのシェイプを施したボディコンシャスなルックや、肩から腕にかけて、ダイナミックなフォルムに仕立てたジャケット、マスキュリンな身体性を表現するコッドピースも登場。骨組みだけのクリノリンを身に着けたルックでは、コッドピースを固定するために腰の両脇にボールをセット。身体を拡張する構造を可視化した。
花や海の生き物といった、ファンタジーなモチーフも散見された。イルカやヒトデ、浜辺を表す灯台などは刺繍によってポップに表現されている。また、生地で形作った立体的な花を、覆うように配したジャケットも登場。赤、白、青のシアサッカーの生地で作られた花々は、頭から足までを覆う骨組みにもあしらわれ、“秘密の庭”にそのままに溶け込んでいくような佇まいを創出している。
バッグは、野球やバスケットボール、テニスボールなどをそのまま象った立体的なデザインがインパクトを残す。継続的に展開されているドッグのハンドバッグは、エレガントな光沢感を備えたクロコダイルレザーで仕立てられた。