フェンディ(FENDI)の2020年春夏ウィメンズコレクションが、2019年9月22日(日)にイタリア・ミラノで発表された。
巨匠カール・ラガーフェルドなき後、初のコレクションとなるフェンディ。今季は、まるでおとぎ話を見ているようにメルヘンでフェミニンな物語を描いた。
夢見心地な雰囲気とシュールさを兼ね備えるこの独特の世界のもととなったひとつは、カラフルなフラワーモチーフ。エネルギッシュなグリーンで描く花は、コーティングレザーのセットアップで、温かみあるハチミツカラーは透明感のあるコートで、そしてピンク×グリーン×ブルーのコントラストで描く花の世界は、シースルーのリゾートワンピースやラフなセットアップに落とし込んだ。フェンディのアイコニックな「バケット」バッグをはじめ、小物に咲く花もまた愛おしい。
フェンディの真骨頂であるファーやレザーとの相性も楽しく、ラグジュアリーなコートには、パイピングや裏地にフラワーモチーフが覗くだけで、一気に春夏らしい爽やかなエッセンスが加わる。バッグにはまるでパズルのように色とりどりのファーを当てはめて立体的に花のモチーフを施した。
そして、このフェミニンな世界に深みを持たせたギンガムチェックや、そこから派生するダイヤキルティングも今季のフェンディを語る上で欠かせない。あどけなさの残るギンガムチェックのイメージをクラシックに変えるため、ブラウンやベージュなどヌーディーなカラーを採用。さらにシースルー素材でセンシュアルな印象をプラスし、幻想的なベールを纏うようにワンピースやトップスは表現されている。
通常なら実用的なファブリックとして用いられるダイヤキルトは、淡いピンクや無垢なホワイトで、ふっくら柔らかな女性像を想起させた。軽やかさと丈夫さを兼ね備えつつ、体を優しく包み込、キルティングならではの丸いシルエットは、フェミニニティにも直結する。
ハイウエストのミニスカートとジャケットのセットアップや、マニッシュなロングコートとワイドパンツとのコーディネートなど、フォーマリティなアイテムへ適応したそれは、愛らしさもカッコよさも全部兼ね備えた理想の女性像へと導いてくれる。