ネヘラ(NEHERA)の2020年春夏コレクションが、2019年9月25日(水)、フランス・パリで発表された。シーズンテーマはFLOWING SUBSTANCE。
今シーズン、ネヘラが取り組んだのは、エレガントなテーラードアイテムを、春夏にふさわしい軽やかさを持って仕立てること。アメリカのデザイナー、クレア・マッカーデルが女性にとって着心地の良い快適な洋服を追い求めた姿勢がインスピレーション源になっている。たとえばトレンチコートには襟下から裾まで深いバックスリットが入っており、本来ならばかっちりとした印象のアイテムをエフォートレスに着こなす仕掛けを施した。
ネヘラが得意とするこのダイナミックで構築的なパターンは、洋服の何通りもの楽しみ方を教えてくれるものでもある。ノーカラージャケットには左右のショルダー部分から裾までバックスリットが入っているのだが、このスリットによって切り取られたパーツをフロントの襟部分にあるボタンに留めることで、斬新なフォルムで着こなすことが可能だ。
また腕を袖では無くスリット部分に通し、ウエストを付属のベルトで結べば、前方から見るとオフショルダーのブラウス風に、後方から見るとノースリーブジャケット風に着こなすこともできる。気分やシーンに合わせて自由自在にフォルムを変えるこのジャケットは、仕立てこそ構築的であるものの、洋服を身に纏う女性に寄り添ったものであるのだ。
機能的なスポーツウェアに着想を得たピースも、今シーズンの特徴の一つ。テクニカルファブリックを用いたドレープコートや、モデルの脚にぴったりと沿ったハーフパンツなどもランウェイに顔を出す。
カラーパレットはホワイト、ベージュ、ブラックなどブランドのシグネチャーであるベーシックカラーだけでなく、鮮やかなレッドやイエロー、ジューシーなオレンジ、爽やかなペールブルー、セージなど極めて多彩。それらは絶妙に設計されたカラーリングで、煩雑な印象をもたらすことなく、エレガンスを保っている。
唯一アクセントとして加えられたのが、ポストモダニズムの代表的なアーティストとして知られるLaco Terenによるアートワーク。ブランド誕生の地であるスロバキアの画家が描いた前衛的なペイントが、ホワイトのノースリーブドレスやシャツに躍動感をもたらす。