特別展「交流の軌跡 -初期洋風画から輸出漆器まで」が、大阪の中之島香雪美術館にて2019年10月12日(土)から12月8日(日)まで開催される。
特別展「交流の軌跡 -初期洋風画から輸出漆器まで」は、桃山時代から江戸時代にかけて、近世の日本と西洋の文化交流の軌跡を、初期洋風画から輸出漆器までの美術品を通して辿る展覧会。中でも注目は、香雪美術館所蔵の重要文化財「レパント戦闘図・世界地図屏風」だ。
「レパント戦闘図・世界地図屏風」は、西洋絵画の技法を学んだ日本人が描いた初期洋風画の名品。「レパント戦闘図」に描かれている、美しく武装した貴公子「ろうまの王」は、フランドルの画家ストラダーノ原画の銅版画『古代ローマ皇帝図集』の扉絵をもとにしている。また、象に乗って戦う印象的な場面は、紀元前202年の北アフリカ・ザマにおけるローマ軍とカルタゴ軍の戦い「ザマの戦い」を描くコルネリス・コルトの銅版画が原図となっている。
さらに、「世界地図屏風」はオランダ製地図などを原図としており、「レパント戦闘図・世界地図屏風」は、初期洋風画の中でもとりわけ多彩な西洋製銅版画の情報をもとに制作されていることが見て取れる。“屛風”という日本の伝統的な表現様式に、西洋から学んだ陰影法・遠近法を使って西洋のテーマを描き出した本作は、東西の要素を折衷させた個性的な作品だ。
会場には、「レパント戦闘図」とともに、着想源となった銅版画「ザマの戦い」や、原図を同じくする「泰西王侯図屏風(たいせいおうこうずびょうぶ)」、日本の屛風に影響されて、海外で制作された「ビオンボ」(後期展示)などの絵画が登場する。
さらに、江戸時代中期以降の「鎖国」や「キリスト教の禁止」、そしてオランダとの交流を経て変遷していった洋風画や、輸出漆器も紹介。輸出漆器には、西洋の注文主の趣味を反映した形や装飾のものが施された。交易相手がスペイン・ポルトガル人からオランダ人へと変化し、西洋製銅版画を典拠とする図を蒔絵や螺鈿で表した、「プラーク」や「プラケット」とよばれる新しいタイプの輸出漆器も登場した。また、西洋人が日本で撮影した写真を元に製作された「長崎風物図螺鈿箱」なども展示される。
【詳細】
特別展「交流の軌跡 -初期洋風画から輸出漆器まで」
会期:2019年10月12日(土)~12月8日(日)
展示替え:前期 10月12日(土)~11月10日(日)/後期 11月12日(火)~12月8日(日)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)
場所:中之島香雪美術館
住所:大阪府大阪市北区中之島3-2-4 中之島フェスティバルタワー・ウエスト 4階
料金:一般 1,000(800)円、高大生 600(400)円、小中生 300(150)円
※( )内は前売り(一般のみ)、20名以上の団体料金
※前売り券は10月11日まで香雪美術館(御影本館)、中之島香雪美術館、フェスティバルホール・チケットセンターで販売。