シンヤ コヅカ(SHINYA KOZUKA)2020年春夏コレクションが、Rakuten Fashion Week TOKYO 2020 S/S4日目の2019年10月17日(木)に、インスタレーション形式で発表された。
今季のインスピレーション源になったのは、イギリスのアート集団・ヤンファミリーによる、身近な生活用品を使用したユーモラスな写真集。そこからイマジネーションを膨らませたコレクションは、“平凡な生活(ORDINARY LIFE)”をテーマに、どこか一捻りを効かせたリアルクローズを展開する。
“そもそも、平凡とは何なのか?”。服作りの上でデザイナーが探求した“平凡”の概念とは、一言に明確な基準がないのが事実だ。人の数だけ異なる価値観や物事の視点。平凡にも非凡にもなりうる、物事の“曖昧さ”を表現するかのように、会場に現れたモデル達は全員顔が覆われており、性別も人種も隠されている。
彼らが纏うのは、横縞のトップスや縦縞のシャツ、単色のセットアップなど、一見“平凡”に見えるリアルクローズ。しかしよく目を凝らしてみると、どこか“違和感”を感じさせる生地が使用されているのが特徴だ。
例えば膝丈のスカートに合わせたブラックのトップスは、玄関マットやコースターを彷彿させる和製ニットのよう。またクールな印象をもたらすブラックのセットアップに差し込まれたインナーはキッチンクロス、ゆったりとしたアウターは厚みのあるラグのようにもみえる。これらの日常に密着したファブリックは、ボンディングや特殊加工を施して、本来とは異なる質感に仕上げたことで、より“違和感”のある存在へと変化している。
パターンワークにも一捻り。ゆったりとしたボトムスや、ロングTシャツにレイヤードしたTシャツのボーダー柄は、よく見ると途中から柄の流れが切り替わっていることに気付かされる。真っ直ぐに伸びていたと思い込んでいた縦縞や横縞が、途中から屈折していている姿からも、“本来の正解とは一体何なのか?"という、デザイナーの平凡に対する探求心が感じられる。
前季に続き、ディッキーズ(Dickies)とのコラボレーションも登場。パンツとジャケットのグリーンのセットアップで、ディッキーズお馴染みのブランドタグをポイントにあしらっている。