ミナ ペルホネン(minä perhonen)の国内初となるファッションショーが、2019年11月25日(月)に東京都現代美術館にて開催。1995年のブランドデビューから、2020年春夏の新作までを組み合わせた大規模なコレクション「ミナ ペルホネン 1995-2020 → SS/AW COLLECTION "TIME・ME・IT"」が発表された。スタイリングは大森伃佑子、ヘアメイクはESPERが担当。
会場に選ばれたのは、ミナ ペルホネンの25年間の軌跡を辿る展示会「ミナ ペルホネン/皆川明 つづく」の開催地・東京都現代美術館のエントランスホール。普段は人々が行き交うその広々とした空間も、今宵は超ロングランウェイへと変身した。会場に鳴り響くのは、無機質なノイズと、それに相反する生演奏の美しいチェロ。全てがアート空間のようなその特別なランウェイで、ショーが始まりを告げた。
「せめて100年つづけたい」。そんな想いから、デザイナーの皆川明が始めたミナ ペルホネン。流行の入れ代わりが激しいアパレル業界の中で、彼の洋服作りに対する一貫した熱い想いと丁寧な姿勢は、25年たった今でも決して色褪せることはない。
だからこそ、ランウェイに現れた25年分の“作品”を纏ったモデルたちは、全員“素敵だ”と思わせてくれる洋服を纏っている。デビュー当時のものから、最新のものまでがランダムにミックスされているにも関わらず、1つのスタイリングで均衡のとれたハーモニーを奏でているのだ。そこにはまるで“時間の概念”なんて存在しないかのように。
一貫して着心地の良さそうな、ゆったりとしたジャケットやドレスに広がるのは、小さな粒を並べて円を描いたアイコニックな「tambourine」や、炎を灯した「candle」、草木のモチーフといった、ブランドで過去に登場したオリジナルテキスタイル。遊び心を閉じ込めたユニークな絵柄は、いずれもバランスのとれた色彩と構図で、不思議と纏う者の魅力を引き出してくれるのが面白い。
ひと際目を惹いたのは、2015年秋冬コレクションで展開された、“ポトフ”と呼ばれるジャケット。ポトフに入る沢山の野菜のように、オレンジやグリーン、イエローなど多彩なカラーをバランスよく組み合わせた一着は、様々な要素を持ちながらも、調和のとれた25年間のブランドのコレクションを体現しているかのようにも見える。
そんなアーカイブの間から姿をみせたのは、2020年春夏の新作コレクション。ジグザク模様の新作「knoll」のジャケットには、2019年春夏の蝶柄の「memoria」のブラウス、19年秋冬の波打つような柄「sulka」のスカートをミックス。全身をネイビーで纏めている分、足元にはビタミンカラーのイエローを差し込んで、爽やかな春の空気を助長している。
ショーの終盤に近付くと、“カラー”ごとにまとめたルックがランウェイに現れる。おそらくはそれぞれのカラーイメージを演出に加えているのが特徴で、少女のようなピュアさを持つサーモンピンクのドレスを纏ったルックは、突然小走りで会場を駆け抜ける。一方淡く大人びたピンクのドレスルックは、何か物思いにふける女性のように、ゆらりゆらりと特徴的な歩き方をしてみせた。
そして自然のエレメントを彷彿させるカラールックも登場。森のグリーン、海を象徴するブルー、大地を感じさせるブラウン。いずれの洋服も、モデルたちの魅力を引き出すかのように、ぴったりとフィット。肩肘張らないゆったりとしたシルエットで、自然体のありのままの美しさを映し出してくれる。