ステラ マッカートニー(STELLA McCARTNEY) 2020年秋冬ウィメンズコレクションが、2020年3月2日(月)にフランス・パリで発表された。
2020年アカデミー賞受賞式において、ゴールデングローブ賞受賞式に続き、セレブへ提供する食事に初めて“ヴィーガンフード”が採用されたことをご存知だろうか。地球の環境問題が声高に叫ばれる昨今、当事者意識を広めるムーブメントは世界中のあらゆる業界で盛んに行われている。
ファッション業界においても“サステナビリティ”“エシカル”というキーワードが溢れる中、先陣を切ってこの問題に取り組み、“ノーレザー、ノーファー、ノーフェザー”の姿勢を貫いてきたのがステラ マッカートニーだ。今季はショー会場で、動物の着ぐるみたちが苗木を配るという、ほっこりとしたパフォーマンスと共に観客をお出迎え。あくまでユーモアを忘れないブランドらしいアプローチと共に、今季もより“進化”したコレクションがランウェイの上へと姿を現した。
“自由な精神と共に、地に足の着いたパワフルな女性像”をテーマに掲げた今季は、肩ひじ張らないリラクシングなシルエットが主流。秋冬の装いにぴったりなアウター群には、首まですっぽりと覆うオフィサーコートや、毛足の長いシアリングジャケット、無数のパーフォレーションが施されたレザー風ジャケットなど、幅広いデザインがラインナップ。ボトムスの多くには、優美な曲線を描くロングレギンスのパンツがセレクトされている。
上質な生地使いが伝わるこれらのワードローブは、もちろんエコフリー素材で仕立てられたもの。今季はこれまで以上に環境に配慮したビーガンレザーで、ワードローブの装飾からアクセサリーに至るまでPVCフリーを実現。またサステナブルなストレッチデニム「COREVA」もランウェイで初お披露目となった。
コレクションは、ホワイト、チャコール、ブラウン、ブラックといったベーシックカラーを中心に。そこにリズムをもたらしていくのは、仏のデザイナー兼イラストレーター・エルテのアーカーイブ作品とコラボレーションしたアーティスティックなモチーフだ。艶やかな漆黒のドレスには、幻想的なジェリーフィッシュを煌めく装飾で表現。しっとりと落ち感のあるテキスタイルと相まって、エレガントな表情へと導いている。
単色で統一したミニマルなドレスは、高度なカッティングによるアシンメトリーなシルエットが観客の目を誘う。共布のストラップを袖口や腰元にあしらっているのが特徴で、ワニやサルといった野生動物モチーフの楽し気なジュエリーをアクセントに差し込んでいる。
ショーのラストにモデルと共にランウェイに現れたのは、先ほどまで苗木を配っていた動物の着ぐるみたちだ。楽し気に行進する動物たちが手にしているのは、ノーレザーかつエコファーのお洒落なバッグ。愛くるしい彼らを犠牲にしなくても、ファッションはここまで進化できる。動物と地球への愛に溢れたステラ マッカートニーのコレクションは、明るい地球の未来へと繋ぐポジティブなメッセージを感じることができた。