ベッドフォード(BED j.w. FORD)の2020年秋冬コレクションが発表された。
今季のベッドフォードの核にあるのは、“アメリカンカジュアル”。しかしそれをカジュアルなままに打ち出すのではなく、秋冬らしい温かみのある素材、身体に沿うようなシルエットにより、しなやかで流麗なエレガンス──屈強なそれではない──のもとに再解釈した。
ブラウンのセットアップは、素材にコーデュロイ地を使い、やや長めの丈感、ポケットは外付けに、そしてフリンジを重ねたパンツはクロップド丈とするなど、カジュアルなディテールを随所に留めている。その一方で、身体に沿った仕立てとピークドラペルのダブルブレスト仕様により、礼服調のエレガントな雰囲気を纏わせた。
また、アメカジを代表するアイテムであるダウンベストは、カラーを穏やかなトーンに抑えるとともに、光沢感のあるゆったりとしたパンツなどモノトーンのアイテムと合わせることで、カジュアル感を抑制。随所に配されたコートやベルトがしなやかに揺らめき、流麗な印象を強めている。
温かみのある素材を使ったロングガウンや優雅なジャケットで目を惹くのは、布と布とを縫い合わせるかのように大胆に走る繋ぎ目の存在だ。スリーブやボディに這わせたこのラインは、パッチワークのようなカジュアルさを匂わせつつも、流麗なシルエットは今にも引き裂かれそうなこの危うい緊張のものとに表現されているのだと気付かせる。
コレクション全体を覆うのは、ブラウンやベージュ、グレー、ブラックなど、上品で温かみのあるカラーリングである。他方、ライダースジャケットの下に挟んだマフラーやロングガウンのイエロー、フード付きのブルゾンのオレンジといったヴィヴィッドな色彩を随所に使用し、落ち着いた色味のウェアと重ねてコーディネートすることで、鮮烈なコントラストを巧みに生み出している。