トッズ(TOD'S)の2020年秋冬コレクションが、2020年2月21日(金)、イタリア・ミラノで発表された。新クリエイティブディレクター、ヴァルター・キアッポーニのデビューショーである。テーマは「イタリアン エッセンス」。
2019年10月にトッズのメンズ&ウィメンズクリエイティブディレクターに就任したヴァルター・キアッポーニは、ヴァレンティノ(VALENTINO)、グッチ(GUCCI)、ミュウミュウ(MIU MIU)、ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)といったブランドでキャリアを積んだ人物だ。
ファーストシーズンとなる今季、彼はこれまでブランドが築いてきた歴史を大切にして、トッズにおける「イタリアらしさ」を模索しつつ、ブランドをモダンに進化させているようだ。エレガンスをストレートに表現するのではなく、マスキュリンな要素を取り入れることで、かえって着る人のフェミニニティを際立たせるアプローチを試みているように感じられる。
その象徴となるファーストルックは、ビッグシルエットのテーラードジャケットにルーズなコーディロイパンツ、コンフォータブルなスニーカーをスタイリングしたもの。オーバーサイズのボーイッシュなウェアが、女性の華奢な印象を際立たせている。
男性のユニフォームとして誕生したミリタリージャケットもオーバーサイジングで。ウエストをベルトでキュッと絞り、ミニドレスを合わせることでセクシーな雰囲気に仕上げた。ホワイトシャツとグレンチェック柄パンツのコーディネートには、センシュアルなカッティングのボディスーツを差し込むことでコントラストをもたらし、女性らしさを引き出している。
トッズのアイコンであるレザーにも現代的な解釈を加えた。これまでのトッズのレザーウェアと言えば、しなやかな皮をもちいて一枚の洋服を仕立てるのが主流だった。しかしヴァルター・キアッポーニは、バイカラーのトレンチコートの襟やアームに部分的に起用したり、光沢感のあるものやマットなものなど異なる質感のレザーをパッチワークのように組み合わせてタイトスカートを完成させていたりする。
表現方法こそ新しくはあるが、これらは全てトッズが長年培ってきた技術があるからこそ成せることなのだろう。
人気のシューズは、スニーカーやハイヒールサンダル、サイドゴアブーツ、フラットなロングブーツなどバリエーション豊富。バッグは、キルティングのボディにTの留め具をあしらったハンドバッグや、大きめのホーボーバッグなどが姿を現した。
なお今回はヴァルター・キアッポーニがメンズ&ウィメンズを同時に発表した初めてのショーでもあり、ランウェイには気足の長いファーをあしらったグラマラスなジャケットや、細いベルトでウエストをマークしたロングコートを纏ったメンズモデルも登場。女性らしさも感じさせるジェンダーレスな着こなしが印象に残った。