ペイデフェ(pays des fées) 2022年春夏コレクションが、2021年8月31日(火)に発表された。
“奇妙かわいい”を主軸に、アヴァンギャルドでガーリー、そしてストリートな要素を融合したクリエーションを手掛けるペイデフェ。今季は、フランスの画家 マルセル・デュシャンによる造語「アンフラマンス(Inframince)」をテーマに、その言葉が指す“不可視的なものと、可視的なものの間に存在するような、薄くて軽い儚さ”を、ファッションを通して表現しているのが特徴だ。
中でもコレクションの強いインスピレーション源となったのは、「アンフラマンス」という概念に近い感覚を表現したといわれる日本人小説家・稲垣足穂の作品だ。実際に足穂の装丁を何冊も手掛けたというコラージュアーティスト・Q-TAのデザインのもと、シンボリックな宇宙や天体を、コレクションのキーモチーフとして採用している。
また今季はファーストルックに登場した“アコーディオン”の蛇腹のように、繊細に折り重なるプリーツがキーデザインに。ここにもコレクションテーマの概念が息をひそめていて、透け感のある両面プリントのプリーツ生地には、表に天体望遠鏡をのぞいている人物を、裏に望遠鏡を見つめる先にいる人物をデザイン。“プリーツの広がりによって重なる世界”、“プリーツが閉じた一瞬だけ見ることができる世界”の両者から、異なる感覚を得られる“アンフラマンス”なムードを表現している。
ランウェイには、“足穂の小説そのもの”をファッションで表現したような、ユニークな演出も披露された。「STAR MAKER」と題した本のオブジェは、ページをめくるたびに、天体のモチーフが物語のように姿を変えていく。またモデルが振り返ると、そのブックデザインをそのまま落とし込んだような、可憐な刺繍入りのトップスが姿をみせた。
こうしたアーティスティックな感覚を取り入れながら、コレクションの中にはペイデフェならではの独創的なバランスも詰め込まれている。胸元やバックスタイルにリボンを大胆に装飾したタートルネックには、切りっぱなしのミニスカートに、流れるようなプリーツスカートを融合したような、アヴァンギャルドなボトムスをスタイリング。またホットピンクのボディコン ワンピースには、星が煌めくとびきりロマンティックなチュールスカートを組み合わせていた。