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フライターグといえば、トラックの幌(タープ)などユーズドマテリアルを使用しているのが大きな特徴ですが、このアイデアはどのようにして思いついたんですか?

マーカス : 出発点は、「自分達が使うためのウォータープルーフで、丈夫で、大きなメッセンジャーバッグを作りたい」というところでした。

でもそんなバッグは売っていなくて。私達はいつも何か、欲しいのに手に入らないものがある時は、自分達で作ってしまうタイプなので、その時もそうしようと思っていました。でも 1993年の当時、そんな丈夫な素材をどこから手に入れたらよいのかわからず、途方に暮れていて。

そんなある日、なんとなく目の前を通り過ぎて行くトラックを見ていて、ふとその幌を利用するというアイデアが浮かんだんです。それで自分達用のバッグを制作し始めた。それから数年後に気付きました。こんな風にいろいろな柄やカラーの幌で様々なバッグが作れるんだったら、きっとこれはビジネスになるかもしれないと。ある意味ラッキーな思いつきでした。

【インタビュー】フライターグ、東京・渋谷の日本2号店、通路型店舗の壁一面に並ぶ約1400の商品BOX | 写真

そんな幌のリサイクルを通じて商品を生み出しているお2人ですが、「エコ」についてお話を聞かせて下さい。それに対してファッションは、どのように向かい合うべきでしょうか。何か秘訣はありますか?

ダニエル : 鍵は「ファッションの起源に帰ること」ではないかというのが私達の考えです。実際昔は、今のように多くの合成素材があった訳でもないですし。ただそれは決して簡単なことではないと思います。まず第一に、「エコ」を考えるには、商品の素材だけではなくて、製造工程から見直す必要がありますから。工場設備や環境を整えたり、技能をもった人を集めたり、やるべきことが山ほどある。

もしそれをうやむやにすれば、例えば低賃金の国に作業を丸投げしたり、自分達で自分達の工場を完璧にコントロールできていないという状況が生まれてしまう。実際過去にも、コスト削減を最優先するあまりに工場周辺の環境を汚染してしまったなどというニュースは何度も耳にしたことがあります。

そういう面で、私達のブランドは違うという自負があります。工場はスイス国内にあって、今どのような状況で稼働しているのかということも、私達は全て把握している。それがまず1つ。そしてもう1つは、商品のライフサイクルに対するこだわり。私は個人的に、品質が良く長持ちするものを作りたいと思っています。例えば、靴で言うなら5年間履き続けていられるようなもの。その方が、安くていろんな素材が使われていて、1年間履いたらだめになってしまうような靴より全然良いと思うんです。

少し私達のビジョンを語りましたが、とにかく、ファッション業界が「エコ」を実現するためには、ほんとうにたくさんやるべきことがあります。そしてそれは簡単なことではありません。でもその中でも、私達は私達なりに最大限の努力をしているんです。

なるほど。確かに、実際この渋谷店には、リペアスペースもありますしね。

【インタビュー】フライターグ、東京・渋谷の日本2号店、通路型店舗の壁一面に並ぶ約1400の商品BOX | 写真

マーカス : はい。何年も前に僕らの商品を買ってくれて、少し古くなってしまったけど、それでもそのバッグが大好きで使い続けたいっていうお客さんもたくさんいますから。例え壊れてしまっても、もし修理が可能なら、新しいものを買うより修理したほうが良いでしょう。それは、さっきの話にもあった、「エコ」の考えにも繋がりますしね。

日本のカスタマーについてですが、顕著な傾向などがあれば教えて下さい。どんな色が好きとか、どんな形のものが良く売れるとか。

ダニエル : 日本人の好みは非常に多様化していて幅広いというのが率直な意見。ただ、挙げるとすれば、例えば女性がレディースアイテムじゃなくて「ユニセックス」のアイテムを持つことが一般的だっていうことなんかは、1つの特徴だと思います。あとは、日本人は細かいディティールに関してすごくこだわりを持っている。

具体的なアイテムでいうとどんなものでしょうか?

例えばこのブルーのバッグに入っているユーズド感あるストライプなんかは、すごく日本人好みですよね。

【インタビュー】フライターグ、東京・渋谷の日本2号店、通路型店舗の壁一面に並ぶ約1400の商品BOX | 写真

よく日本で、自分でデニムを切ったりして加工している人を見かけますが、たぶんその感覚に近いんだと思います。すごく繊細な感覚の持ち主だから、こういうすごく細かいディティールにもこだわって、その良さを理解してくれていると感じます。こんな感覚を「わびさび」というんでしょうか。あってます?(笑)

【インタビュー】フライターグ、東京・渋谷の日本2号店、通路型店舗の壁一面に並ぶ約1400の商品BOX | 写真

最後に日本のフライターグのファンにむけてメッセージをお願いします。

ダニエル : 一言でいいますね、「ありがとう(日本語で)」。(笑)でも本当に、私達の商品の細部にまで、良さを見出してくれる、彼らの繊細な感覚には感謝しています。

私達は時々、小さな加工や細工を商品にほどこすんですが、それを消費者がどれくらい認識してくれるかは、やっぱりスイスと日本では大きく違う。日本人は、そういう細かいところをすごく評価してくれたりして、私達にとってはすごく嬉しいことなんです。多分それは彼らのもつ繊細さの賜ですね。

マークス : これまでの15年間のように、これからの15年間も日本とよい関係を築き続けていきたいです。そうなったら本当に喜ばしいことですね。

Interview and Text by Sena Inoue

時々ジョークを交えながら楽しそうに話をする弟のダニエルと、落ち着いた雰囲気で、しかしブランドの世界観を情熱を込めて語る兄のマークス。2人はどんな質問にも笑顔で対応してくれたが、その回答からは、ブランドとしての確固たる信念のようなものが感じられた。環境問題にも配慮しながら、若くしてブランドを立ち上げ成功した彼らとの対話の中に、今の消費サイクルから少しずつ脱却しつつある世界を垣間見ることができた。

【ショップ情報】
FREITAG STORE TOKYO SHIBUYA
オープン日:2013年9月6日(金)
住所:東京都渋谷区神宮前6-19-18 コマツローリエビル1F
TEL:03-6450-5932
営業時間:11:00–20:00

Photos(32枚)

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