マックスマーラ(Max Mara)の2022年春夏コレクションが、イタリア・ミラノで発表された。
今シーズンのインスピレーション源となったのは、『悲しみよ こんにちは』で知られるフランソワーズ・サガン。手に負えないティーンエージャーだった彼女は、2度の退学処分を受け、大学入学資格試験に落ちたことから、恒例のファミリーバカンスを諦めて家に残って勉強することを余儀なくされた。そんな彼女が、“想像”の旅、“想像”の夏を形にしたのが、『悲しみよ こんにちは』だった。
物語は、瀟洒な別荘や秘密のビーチ、疾走する車、ボート、シックなレストラン、カジノなどを舞台に繰り広げられるのに、彼女が実際にいるのは家の中。今季は、そんなスマートで不機嫌そうな作家フランソワーズ・サガンの姿から着想を得て、彼女のスタイルともいえるワークウェアをモダンに再解釈している。
全体として、シルエットはミニマルな印象。オーバーサイズのジャケットにミニドレスやチューブトップを合わせ、エレガントながらもスポーティー、そしてどこか“バッドガール”なムードに統一している。
コレクションの中で特に目を引くのは、真新しいデニムやギャバジンなど、パリッとした質感の素材を使用したウェアの数々。本来作業着などに用いられるこれらの素材を、クラシカルなロングコートやセクシーなミニスカートに充てているのが新鮮だ。
フィッシャーマンズスモックやレイバージャケットといったワークウェアも女性らしくアップデート。厚手のフィッシャーマンズスモックは同素材のスカートを組み合わせ、セットアップのように着こなしている。
また、ふわりとしたフェザー刺繍をあしらったシアーなシフォン素材のアイテムも魅力的だ。対極ともいえる艶やかなレザーのコートを羽織ることで、質感のコントラストを強調。軽やかでドレッシーな雰囲気をクールダウンさせている。
カラーパレットは、サンド、タン、ネイビー、ブラックを基調に、ポップなイエローやオレンジなどのヴィヴィッドなカラーでアクセントをプラス。また、淡いブルーやイエローで構成されるマルチボーダーは、ノスタルジックな夏の時間を演出するデッキチェアやパラソルなどをイメージさせる。