ジバンシィ(Givenchy)の2022年春夏コレクションが発表された。
マシュー・M・ウィリアムズがジバンシィのクリエイティブ・ディレクターに就いてから、初のライブショーとなった今季。メゾンの歴史と伝統を礎とする姿勢を映しだすのが、レイヤー構造を強調したスタイルだろう。メンズにおいては、エレガントなチェスターコートやテーラードジャケットには、ポケットを多数あしらったジレを重ねる一方、カジュアルなブルゾンにはテーラードジャケットをノースリーブ化してレイヤリングした。
一方でウィメンズでは、ユベール・ド・ジバンシィのアーカイブに着想を得たフリルが波打つようなコルセットを、ハイネックのブルゾンやミニスカートの上にレイヤード。通常ならば大胆な素肌の露出を伴うコルセット状のショート丈ワンピースはここで、衣服の上に重ねられて装飾的な効果を果たしている。
とりわけペプラムのディテールは数多く見られ、フェティッシュな感覚を高めるレザーのコルセットはもちろん、クラシカルなグレンチェックやしなやかなレザーのブルゾン、軽やかなシアー素材のトップス、レースを重ねたミニスカートなど、多彩に展開された。コレクションにはクラシカル・モダン両極の素材で展開されているが、それはこのようにひとつの要素を定点観測することでも見て取れる。
また、アメリカ人アーティストであるジョシュ・スミスの作品を落とし込んだウェアは、落ち着いたトーンを基調としたカラーパレットに鮮やかさをもたらしている。死神やトーテムはブルゾンやシャツ、プルオーバーなどに、あるいはかぼちゃのモチーフはデニムパンツやニット、バッグなどにあしらわれた。