リック・オウエンス(Rick Owens)は2022-2023年秋冬コレクションを発表した。
今季のリック・オウエンスは、アバター的な架空の自己創造を追い求める現代の世相を反映。着用者を覆い、本来の身体とは別に新たなもう一つの身体を生み出しているかのような、包括的でダイナミックなピースが登場する。
パーカーやダウンコートは、フード部分通るフルジップジップによって頭部をすっぽりと覆い隠す構造でデザイン。シェルの様にモデルを包み、ユニークなフォルムを描き出す。そして、テーラードコートとジャケットはこれまでのリック・オウエンスでも見られたパワーショルダーが印象的。力強さを感じさせるシルエットで、男性らしさや反骨精神を表現している。
また、メッセージ性のあるテキストを乗せたアイテムも散見された。表面的でない、深い意味を感じさせるワードたちはリック・オウエンスの思想やクリエイティビティが反映されている。
足元にはコンバース(CONVERSE)とのコラボレーションによる新作スニーカーや定番のアクリルヒールのプラットフォームシューズなどが登場。腕にスリットを配し、ブラックやオレンジ、シルバーなどのラインナップを展開。それぞれ、レザーや反射生地など異なる素材によって制作することで、独自の表情を生み出している。
またショーを通して目を惹くのが、モデルが冠したヘルメットだろう。リック・オウエンスが訪れたエジプトの神殿や墓で目にした王冠をイメージしたものとなっており、ダン・フレイヴィン風の蛍光灯を装飾することでコレクションのテーマやルックを強調するオブジェクトとして存在感を放っていた。