たくさんありますよ!何から何まで全部自分でやらなくてはならなかったのですから。でも私はラッキーだったと思います。なぜなら、自分のキャパシティーをはっきりと把握できていたから。始めの2年間に、シャツとタイだけに絞った理由はそれです。
純度は高く、的を絞らなくてはとても手に負えません。あとは、LAには、服作りのための材料が揃っていなかったことにも苦労しました。アシスタントを見つけようにも、洗練されていて、技術を持った人材も少ない。だから、すべてが挑戦的かつ実験的だったと言えます。
メンズの市場が小さいことと、マーケットがそれを欲していたから。バーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEWYORK)に頼まれたのです。うちにウィメンズのシャツを作ってくれませんか、てね。
スケジュール的に異なる動きをしていること、手掛けるチームが別々であること、そして一つのインスピレーションを共有している訳ではないことを思うと、別物だと言えます。でもメンズから先にコレクションを作り出して、その後ウィメンズにその流れが行くということもあります。いづれにせよ、それぞれにナチュラルでしっくりくることを重要視します。
バンドのウィメンズラインがまさにそれを体現していると思います。でも、これはファッショントレンドというより、個人のスタイル。例えば私は、その日の気分で何を着るかを決めます。だから、世界の多くの人が”たまたま”そんなフィーリングにあるのでしょう。女性がパワーや心地よさを求めてマニッシュな恰好をしたくなる気持ちはわかりますね。でもその逆は…私のブランドでは考えられません。メンズにスカートを取り入れたりとか。花柄くらいならできるかもしれませんが。
バンド オブ アウトサイダーズを、ユーモアや映画、音楽といった様々な要素のプラットホームとして割り切って考えていたからでしょうか。ファッションに固執しすぎたり、自分の名前を掲げたりしたブランドではないところがポイント。あとは、世界にこうして店を開くという目標もモチベーションとなっていたかもしれませんね。
"Focus!"全部一遍にやろうとしてはいけません。キャリアの浅いうちにコレクションをフルラインで作るのは難しい。金銭的な面での困難もありますが、例えできたとしても優れた物に仕上がるかは疑問です。だから、まずは何かのエキスパートになってからの方が結果として近道のような気はしますね。
そうですね、服に関しては特に。バンドではいつも着やすさやフィット感を大切にしていますし、コレクションでもイージーで心地よい物を提案します。例えば、店頭のトルソーが着てるドレスもコレクションラインですが、定番のシャツドレスを構築し、40年代のエッセンスを取り入れてファッショナブルにしつつも、シャツドレスであることに変わりなく、着ていて自分を見失うような非現実さもありません。