アンベル(AMBELL)2014年春夏コレクションが、2013年10月19日(土)、インスタレーション形式で発表された。
熱帯樹に挟まれた道を抜けると、大きな民族写真と真っ赤なマネキンが印象的な、広い空間に出た。様々な生き物の音に包まれ、まるでジャングルのなかに迷い込んだかのような雰囲気だ。今季のテーマは「Urban Tribe」。南米アマゾン川流域の先住民族であるカヤポ族にインスピレーションを得ている。
「カヤポ族は、昔のままの生活様式で生きています。その伝統の中にあるような守られた美を、現代の絶えず変容していく美しさの中に取り込みました」と力強く語るのは、デザイナーの門野文蔵。なるほど、セットアップやドレス、コートやニットといった、ほどよく力の抜けたモダンなシルエットのアイテムは、よく見ると、独特の柄や、襟口やベルトにも採用されたヒモのディテールなど、民族的な要素が浮かび上がってくる。
伝統の紋様が持つ、人が生み出した美しさと、花や草木をモチーフにした柄にある、自然から生まれた美しさを共存させたことも、今回の彼のクリエイションにおいて大きなポイントになった。また、プリーツにプリーツを重ねることで新たな表情を引き出したり、ジャカードで控えめに柄を表現するなどの細やかで強いこだわりは、さりげなくもしっかりとスタイルを彩る。
ドレスやニット、マネキンにまで、積極的に使われた赤。これはカヤポ族が身体に絵柄を描く際にもよく使われる色であり、「強さ」を象徴する色だという。強く生きること。伝統の中にある社会でも、変革を続けていく社会の中でも、重要な意味合いを持つこの共通項を、そっと掘り起こしたコレクションとなった。