企画展「人のすがた、人の思い─収蔵品にみる人々の物語─」が、東京・虎ノ門の大倉集古館にて、2022年4月5日(火)から5月29日(日)まで開催される。
企画展「人のすがた、人の思い─収蔵品にみる人々の物語─」は、4つのテーマ「女性のすがた」「思いに向き合う」「名所に集う」「民衆へのまなざし」のもと、大倉集古館の収蔵品を中心に展示する展覧会だ。人びとがどのような姿や形、そして動きをしているか、そしてそこにどういった思いが込められているかに着目し、絵画や書跡、彫刻、工芸品などを紹介する。
絵画などに登場する人物は、そのイメージにふさわしい姿で表現される。たとえば、ある人物の服装や仕草からは、それが愛らしい庶民の女性や、中国の理想の美人であることがわかる。また、身にまとう衣裳も、女性に対する理想を具現化したものだと捉えられる。「女性のすがた」では、《木蘭詩図衝立》などを展示し、女性の姿に託された思いを探ってゆく。
人はさまざまな思いを心に抱く一方、そうした思いを正しく導こうとする法や教えなども存在する。絵画の場合、絵師の頭領は弟子たちのために手本を作ってきた。「思いに向き合う」では、多様な表現媒体や主題による思いの表現に着目。狩野派のバイブルである狩野探幽筆《探幽縮図(和漢古画図巻)》からは、過去の作品を模写することで人の姿や形に視線を注いだ探幽の思いを伺うことができそうだ。
日本では、世の中が安定し、インフラが整備されるようになった江戸時代に入ると、庶民も旅を楽しむようになるとともに、出版物の浸透によって各地の名所への関心も広まっていった。加えて、都市の繁栄に伴い、従来は上級階級のものであった行楽も庶民が享受するところとなった。「名所に集う」では、鶴岡蘆水筆《両岸一覧》などから、江戸や京都の人びとが集う行楽の様子や、名所をめぐる思いに光をあてる。
江戸時代にはまた、都市の繁栄に与る庶民の姿が、絵画のモチーフとして取り上げられるようになった。江戸の人びとや職人などを描いた当時の作品には、現世の楽しみを素直に肯定しようとする人びとの姿を見て取ることができる。「民衆へのまなざし」では、久隅守景筆《賀茂競馬・宇治茶摘図屏風》(重要文化財)など、庶民の生活や思いを細やかな観察を通して捉えようとする絵師のまなざしを紹介する。
企画展「人のすがた、人の思い─収蔵品にみる人々の物語─」
会期:2022年4月5日(火)〜5月29日(日)
会場:大倉集古館
住所:東京都港区虎ノ門2-10-3(The Okura Tokyo前)
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
入館料:一般 1,000円、大学生・高校生 800円、中学生以下 無料
※同会期中のリピーターは200円引き(前回来館時のチケットを持参のこと)
※20名以上の団体は100円引き
※障がい者手帳、被爆者手帳の提示者およびその同伴者1名は無料
※会期などは変更となる場合あり(最新情報については美術館ウェブサイトを確認のこと)
【問い合わせ先】
大倉集古館
TEL:03-5575-5711