ベースマーク(BASE MARK) 2022-23年秋冬コレクションが発表された。
3月にしては珍しいほど、凍えるような冷たい雨が降り続けていた金曜の夜。ガタガタと身体を震わせながら取材陣がたどり着いたのは、どこかの時代の晩餐会に迷い込んだかのような、独特な雰囲気を持つ会場だった。空のワイングラスが並ぶ長テーブル、怪しげに揺れる蝋燭の炎、生演奏で奏でられるクラシックミュージック…そして暗い会場に光をもたらすのは、非現実的な赤のライトアップだ。
そんな会場作りにまで落とし込まれた今季のインスピレーションは、1924年にフランスの作家アンドレ ブルトンが定義した芸術活動「シュルレアリスム」の思考だ。“スタンダードの服をモードに遊ぶ”ことを得意とするベースマークが、アイコニックなレイヤードスタイルに今季らしい捻りを加えたユニークなコレクションを展開する。
コレクションを構成するのは、Tシャツやカットソー、ニット、フルレングスのパンツといったいつも以上にカジュアルなアイテムたち。ややオーバーサイズな仕上がりで、だぼっとしたストリートライクなスタイリングを基本とするが、そこにはどこか“違和感”のあるレイヤードスタイルが散見される。
一見、普通のレイヤードに見えるニットやスウェットなどのトップス類は、襟元で2着が繋がっているディテールで重ねたり、捲ったり、巻いたり、結んだりする事で様々な形状とスタイリングを表現。またフロントやバックに、ぺたりとTシャツを張り付けるなど、“レイヤード”という概念を大胆に解釈した今季らしいコーディネートも登場する。
またディテールを大胆にデフォルメした、ユニークなピースも散見された。例えば襟ぐりをぱっくりと開けたダッフルコートは、トグルから繋がるストラップがゆらりと垂れ落ちるほど長く、アームの縫い目も目視できるほど太くはっきりとしている。
網目模様を大胆に再解釈したニットベストは、どこか荒々しい表情へと姿を変え、今季のストリートなムードを助長する役割を担っているのも面白い。
そして前シーズンに続き、今季も「シメオン ファラー(Simeon Farrar )」とコラボレーションしたアイテム第2弾が登場。前回の一番人気だったアシメトリーTシャツ、ニット、パーカ、ダブルTシャツの4型にて展開される。